高精度3次元大規模数値シミュレーションに基づく南海・東南海地震の強震動分布予測
【研究分野】固体地球物理学
【研究キーワード】
東南海地震 / 南海地震 / 強震動 / 数値シミュレーション / 地球シミュレータ / 並列計算 / 地震被害
【研究成果の概要】
南海トラフおよび千島-日本海溝の巨大地震の波動伝播特性の解明と、強震動被害予測の高精度化を目的に、H15年度までに行ってきた1.気象庁および大学の高感度地震観測網と防災科学技術研究所の強震観測網(K-NET, KiK-net)およびFREESIA広帯域波形データ解析に加え、自治体震度計ネットワーク(SK-net)データを用いて、東北日本と西南日本の地下構造(地殻構造と堆積平野構造)の違いを明らかにするとともに、2.地球シミュレータを用いた高精度かつ大規模な3次元大規模FDM計算による短周期地震動シミュレーション(3Hz以上)を実施した。
本年度は、主として2003年9月26日の十勝沖地震のシミュレーションを実施し、この地震時に関東から北海道にかけての広い範囲で見られた、大きな震度の特異な分布形状(異常震域)の生成過程を詳しく考察した。地球シミュレータを用いた大規模計算から、まず、従来の高速(High-V)かつ低減衰(High-Q)のプレートモデルでは高周波地震動の伝播がよく説明できないこと、そしてこの現象はプレート内の不均質性を考慮した新しいモデルにより初めて説明できることを明らかにした。不均質プレートモデルと不均質震源モデル(擬ダイナミック震源)を用いて求められたシミュレーション波形は、上記の広帯域観測で得られた海溝型地震の波形の特徴を良く説明することを確認した。
このモデルを用いて、東海・東南海地震同時発生の3次元数値シミュレーションを再計算し、短周期地震動の伝播(異常震域の再現)と、M8地震断層からから放射される、周期が数秒〜10秒を超える長周期地震動が、日本の主要な堆積平野で強く増幅され表面波を形成する様子を、観測とシミュレーションの比較から調査した。
【研究代表者】