有機・無機光伝導性焦電体の物質開発と光誘起新現象の探索
【研究分野】応用物性・結晶工学
【研究キーワード】
Alq3 / 強誘電体 / 焦電体 / 光励起 / 分子内励起移動 / GASH / 酸化物 / ナノ粒子 / Alq / 結晶成長 / 超薄膜 / 偏光解消 / 電場 / レーザーアブレーション / 巨大光起電力 / 光アクチュエータ
【研究成果の概要】
強誘電体・焦電体の光励起による新物性探索を目的に、物質開発および物性測定を行った。極性を持つ有機半導体であるAlq3(8-hydroxyqinoline alminium)の蒸着による薄膜結晶成長中にレーザー光で光励起を行うと、結晶が偏光方向に配列する現象を見出した。この機構を探るために成長条件や偏光方向を変化させた結果、強誘電体の光励起による巨大光起電力と類似の現象が起き、その電場で極性分子が静電気力によりひきつけられるというモデルを立てた。巨視的物性測定の一環として、Alq3において、偏光照射により作成した結晶性配向膜の蛍光の角度依存性を測定したところ、角度依存性をほとんどないことがわかった。フェムト秒分光の研究室の協力により蛍光の時間分解測定を行ったところ、分子内での励起移動が非常に速く起こっていることがわかった。このことは、有機ELにおいて多く用いられる分子であるAlq3の配向化を行っても偏光発光は起こらないことを示している。偏光照射によって作成した配向結晶膜は光励起にともなう高速現象ではなく静的な要因で起こっていることが確認された。物質開発の側面では、水溶液から成長する有機強誘電体であるGASH(guanidine alminosulfate hydrate)にアルミの代わりにクロムをドープすることを試み、導電性探針AFMによる電圧印加を用いた局所ポーリングとその時間変化、光照射効果を調べた。さらに、酸化物強誘電体の溶液中レーザーアブレーションによるナノ粒子化、および高分子へのドーピングを行った。酸化物のレーザーアブレーションを行うと、溶液から生成するナノ粒子へのドーピングを行うことができることを確認した。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
長谷川 哲也 | 東京大学 | 大学院・理学系研究科 | 教授 | (Kakenデータベース) |
一杉 太郎 | 東北大学 | 原子分子材料科学高等研究機構 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2005 - 2007
【配分額】15,980千円 (直接経費: 14,900千円、間接経費: 1,080千円)