海底地震計を用いた微小地震観測による南海トラフ地震発生域の研究
【研究分野】固体地球物理学
【研究キーワード】
南海トラフ / 微小地震 / 海底地震計 / プレート境界 / 地震発生非発生境界 / 海底長期地震観測
【研究成果の概要】
南海トラフは,これまでに巨大地震を繰り返し発生してきた地域である.一般に沈み込み帯では,プレート境界面において,地震を発生する領域と海溝よりの地震を発生しない領域があることが知られている.この地震発生・非発生境界では近傍に常設の地震観測点がないために,はっきりとした境界位置,発生域での詳しい震源分布,発震メカニズム等はわからないことが多い.また,境界域付近の地震活動度は比較的低い.南海トラフでは,近年,海底地震計探査やマルチチャンネル反射法地震探査が行われ,海溝から陸側斜面にかけての詳細な構造が求められている.本研究の目的は,南海トラフの地震発生・非発生境界域付近で,海底地震計を用いた長期の微小地震観測を行い,海洋プレート沈み込みに伴う地震の発生様式を明らかにすることである.求められた地震の発生様式と詳細な構造から沈み込みに伴う物性の変化が推定可能になると考えられる.観測域は,室戸岬沖南海トラフ付近であり,この海域では平成10・11年度にも,海底地震計による微小地震観測が行われている.本観測は,これらの長期繰り返し観測の一部にもなっている.観測は,長期間デジタル収録型海底地震計を用いて,平成11年9月〜11月,平成11年11月〜平成12年1月,および平成12年6月〜8月の計3回のべ7ヶ月間行った.震源決定は,これまでの探査により求められた速度構造を用いて,グリッドサーチ法によって行った.多くの地震は,沈み込む海洋プレート内およびプレート境界付近に震源が決定されている.地震発生域の上限は,温度構造から推定される位置と一致している.また,構造探査によって見いだされた沈み込んでいる海山付近にも,多くの地震が発生しており,巨大地震の発生と海山の沈み込みが関連している可能性がある.
【研究代表者】
【研究種目】奨励研究(A)
【研究期間】1999 - 2000
【配分額】2,200千円 (直接経費: 2,200千円)