連続重力観測・宇宙線土壌水分計によるマグマ移動の検出
【研究キーワード】
宇宙線 / 土壌水分 / 地下水 / 火山 / 重力 / 電磁カスケード / 宇宙線電磁成分
【研究成果の概要】
本研究は,宇宙線電磁成分の強度を測定することにより土壌水分量を測定する技術の確立を目指している.2019年度には,坑道内で測定された宇宙線電磁成分の強度が,降雨量に応じてわずかに減少することを確認した.2020年度には水槽試験による較正曲線を取得し実測値との比較を行った.これらを踏まえて2021年度は,(1)土被りの分厚い別の坑道での測定,(2)大気に含まれる水分が与える影響の検討,の2点に取り組んだ.
(1)以前の観測で見られた降雨による電磁成分強度の減少量は,水槽試験から予測される減少量のわずか10分の1程度であった.そのため,降雨による土壌水分量の変化をリアルタイムでとらえることはできなかった.そこで,より土被りの分厚い別の坑道に宇宙線検出器を移設し,2021年7月から測定を開始した.移設に当たっては,湿度の高い坑道での観測に耐えるよう,光電子増倍管および高圧電源を替えた.報告書作成時点(2022年5月)も測定を続けている.
(2)本研究は土壌に含まれる水分量の測定を目指すものであるが,そのために,大気中に含まれる水分(湿度)の変化が生む系統誤差を評価する必要がある.宇宙線の生成・伝播を計算するシミュレーター(CosmosX)の結果によると,大気中の水分量の増加が大気の平均組成(<Z/A>, Z:原子番号,A:質量数)を変化させ,宇宙線強度にわずかな変化が生じる可能性があることを確認した.しかし,大気圧・気圧の現地観測データを使って補正を行うことで,これらの効果は適切に取り除くことができる.
【研究代表者】
【研究種目】若手研究
【研究期間】2019-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)