空中磁気測量による火山性磁場変動の検出
【研究分野】固体地球惑星物理学
【研究キーワード】
火山 / 地熱 / 地球電磁気 / 自然現象観測・予測 / 空中磁気 / セシウム磁力計 / 空中磁気測量 / ホワイトアイランド / 火山性磁場変化 / プロトン磁力計 / 自然電位
【研究成果の概要】
平成15年度には,ニュージーランド国ホワイトアイランドに4名が渡航して、2地点にプロトン磁力計を設置して地上連続磁場観測を可能とした。また、自然電位分布観測を行った。16年度には5名が渡航して、連続磁場データの回収、地上繰り返し磁場観測を行うとともに、対地高度50mと100mの空中磁気測量を実施した。平成17年度には7名が渡航して地上および空中での繰り返し磁気測量を実施した。ホワイト島の火山活動は静穏で顕著な磁場変化は検出されなかった。しかし、この研究を通して空中磁気測量に関する観測技術的問題はほぼ解決された。即ち、飛翔体の位置決定は、高精度のGPS受信機を地上とバードに設置して、ディファレンシャル解析することで1m以下の誤差で求められること、機体へりの磁化の影響を避けるには40m離す必要があり、バード吊り下げ方式が優れること、安定な飛行を得るためのバードの形や円筒翼が決定できたこと、高精度のセシウム磁力計が大学で所有できたこと、パソコン画面に即時的にGPS位置を表示して航路誘導に用いるシステムが開発できた。この研究を契機として阿蘇、九重、桜島、磐梯、浅間の火山において飛行実験を積み重ねることが出来、空中磁気測量が大学の研究者によっても比較的簡単に実施可能であることを示せたことも成果の一つである。とりわけ、この研究の大きな目標であった空中磁気測量で火山性磁場変化を捉える課題は、九重火山における1996年と2004年の空中磁気測量データの解析から地上観測と整合的な50nTの火山性磁場変化を検出する成果を得たことで達成できたものと考えている。これらの研究成果は平成18年1月に筑波において開催されたISAG2006空中物理探査国際シンポジウムの研究会で発表を行った。
【研究代表者】