スタグナント・スラブの電気伝導度
【研究分野】固体地球惑星物理学
【研究キーワード】
スタグナントスラブ / 電気伝導度 / マントル遷移層 / 中国東北部 / ロシア沿海州 / 地電位差 / 地磁気変化 / ネットワークMT / スタグナント・スラブ
【研究成果の概要】
本研究は,地震学的にはほぼ確立した概念であるスタグナント・スラブを,電磁気学的に研究することを目的として,平成15年度〜17年度の3年間で実施した.
中国東北部吉林省および遼寧省においては、中国地震局地質研究所の趙教授のグループと共同で電話回線を利用した地電位差観測を実施した.3年間の研究によって、吉林省3地点(Sanchahe, Changchun, Changchun-S),遼寧省4地点(Siping, Bamiencheng, Jinzhou, Chaoyang)において良好な長基線地電位差観測データを取得することができた、また,長春地磁気観測所の地磁気変動観測データの収集を行った.さらに、吉林省,遼寧省において中国研究者によって実施されてきた過去のMT法探査結果が記載されている論文を調査し、大局的な海陸分布や浅部構造が長周期応答関数に与える影響を見積もるために必要な表層の電気伝導度分布のマップを作成した。
ロシア沿海州においては、ウラジオストク太平洋研究所のニキフォロフ教授のグループとの共同研究を実施した。許認可などの手続きで時間がかかったが、最終的にはウスリースク市のほぼ南北に30km間隔で敷設してある電極を市内電話回線で接続した地電位差観測により非常に良好なデータが取得できた.また、ロシア側の独自に行っている沿海州の機動観測のデータの提供も受け,表層付近の地質効果の除去に役立てる情報を得た.
以上の観測データの解析をすすめ、電気伝導度の鉛直分布や水平方向の変化の有無を詳細に検討した。また、地震波速度構造と既往の高温高圧実験の結果をもとに電気伝導度分布からマントルの水の存在度の推定を行った。これらの研究の成果は、国際学術雑誌に公表した。
【研究代表者】