人工構造物の振動を利用した超高密度震源による地震探査とモニタリング手法の開発
【研究キーワード】
人工物の振動 / 小型震源装置PASS / 地下のイメージング / 地下のモニタリング / 機械学習 / 地震探査 / 稠密地震計データ / 火星の地震計データ
【研究成果の概要】
電車線路や幹線道路、建物などの人工構造物の振動を有効に利用して、環境フレンドリーな超高密度の仮想人工震源ネットワークを構築し、高い解像度で地下のイメージングとモニタリングを行う手法の開発を試みた。
(1)人工振動源を利用したイメージングとモニタリング:MeSO-netやHi-net地震計、我々が設置した地震計のデータを解析した。特に、福岡市の市街地や、空港周辺、公園、地熱地域で観測を実施した。市街地で取得された地震計データとMeSO-netデータを利用することで、高い空間解像度で浅部地下構造をイメージングすることができた。またHi-net地震計を利用することで、近畿地方全域の三次元地質構造を推定した。さらに光ファイバー地震計(DAS)を用いた測定も実施した。
(2) 小型震源装置の開発:昨年度までの検討で、適当な人工振動を利用できない場所があることが明らかとなった。そのような場所でも、イメージングやモニタリングを実施するために、小型震源装置の開発を実施した。この装置は、小型のモータで同じ信号を繰り返し発振し、それを重合することで遠くまで信号を伝達する仕組みである。直径4cmのモータを利用した小型震源装置でも、信号が1km程度伝達することが明らかになり、この震源装置が地下のイメージングやモニタリングを実施する上で現実的であることが示された。特に信号が時間方向に安定しているため、高い時間解像度でのモニタリングが期待できる。
(3) 機械学習の利用:機械学習を用いて、地熱地域に展開した地震計のデータから、様々なタイプの地震を自動的に抽出する試みを行った。
(4) その他:火星や月面で取得された地震計データの解析を実施した。月面では、アポロが取得した地震計データに記録されている振動を利用した場合の可能探査深度等の評価を行った。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
池田 達紀 | 九州大学 | 工学研究院 | 助教 | (Kakenデータベース) |
二宮 啓 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 | 地質調査総合センター | 研究員 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2020-04-01 - 2024-03-31
【配分額】17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)