大自由度力学系のデータ駆動型縮約モデリング手法の確立とバイタルサインへの適用
【研究分野】制御・システム工学
【研究キーワード】
非線形力学系 / 次元縮約 / データ同化 / バイタルサイン / 力学系 / 非線形振動 / 同期現象 / 縮約 / 生体リズム / 複雑系
【研究成果の概要】
本計画では生体リズム等を念頭に大自由度非線形力学系の縮約理論を発展させ、観測データから系を記述する主要な変数を抽出して縮約数理モデルを構築するデータ駆動型縮約モデリング手法の確立を目指している。平成31年度は本計画の3年次であり、以下のような研究を実施した。(i) 自励振動する力学系に対する縮約理論の発展。系を記述する微分方程式を低次元の位相方程式に系統的に近似するための縮約理論に対して以下のふたつの拡張を行なった。(a) 振動の振幅自由度を取り入れた位相振幅縮約理論の発展。振動の基準状態からの偏差を表す振幅変数をKoopman作用素論に基づいて力学系として自然な形で導入し、振動系のダイナミクスの位相と振幅の両変数を用いた縮約記述法を発展させた。その例として生化学反応モデルにおける振動現象の制御を考察した。(b) 量子散逸力学系の非線形振動に対する位相縮約理論の開発。ミクロなオプトメカニカル系などの量子効果が重要となる量子散逸非線形力学系の非線形振動に対する位相縮約理論を発展させた。半古典領域に着目して系の量子状態を表す密度行列のマスター方程式から状態空間表示で量子Fokker-Planck方程式を導き、その決定論的部分に対して位相を導入することにより、系を記述する位相方程式を導出して、周期外力への同期現象を議論した。(ii) 位相縮約理論を用いた振動子の同期の最適化に関する研究を行なった。複数の非線形振動子間の同期を最適化する結合の形式や、非線形振動子の同期を最適化する周期外力の形状を導出して、数値シミュレーションにより確認した。(iii) その他の関連研究として、脳神経系のモデルとしての結合振動子系における異常な集団同期の抑制に関する研究、ネットワーク結合力学系におけるパターン形成現象に関する研究、流体系の非線形振動現象に関する研究などを行なった。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
小林 亮太 | 東京大学 | 大学院新領域創成科学研究科 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
秦 重史 | 鹿児島大学 | 理工学域理学系 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
紅林 亘 | 弘前大学 | 教育推進機構 | 助教 | (Kakenデータベース) |
河村 洋史 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 | 付加価値情報創生部門(数理科学・先端技術研究開発センター) | グループリーダー | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2017-04-01 - 2021-03-31
【配分額】17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)