隕石中の星間物質の探査とその惑星系への進化の研究
【研究分野】岩石・鉱物・鉱床学
【研究キーワード】
隕石 / 酸素 / 二次イオン質量分析法 / 星間物質 / 同位体顕微鏡 / 太陽系 / 同位体 / 惑星系 / 珪素 / マグネシウム / 2次イオン質量分析法
【研究成果の概要】
隕石中の星間物質は太陽系誕生以前の歴史を探る唯一の手がかりである.この星間物質を太陽系物質と見分けるためには,同位体比を測定し,太陽系の同位体比とは異なることを証明する以外にない.この観点から,本研究では隕石中の鉱物1粒1粒毎の同位体比組成とその形態・結晶構造との関係を明らかにすることにより,星間物質から惑星系への進化論を実証的に構築することを目的とした.
そのため,二次イオン質量分析法を用いた酸素同位体比のミクロンスケールの局所分析法を新たに開発した.その分析法を適用した結果,太陽系最古の物質であるアエンデ隕石中の難揮発性包有物(CAI)に含まれるメリライト単結晶中に酸素同位体比の不連続的なゾーニングを初めて発見した.この事実は,原始太陽系星雲中では,ダストと気体成分との間において,酸素同位体比が異なる値を持ち,原始太陽系星雲中における複数回のダスト成分の加熱作用により太陽系の固体成分が進化していったことが証明された.今回見つかったゾーニングは加熱時の固体と気体間における同位体交換現象を凍結している例であると考えられる.この固体成分と気体成分間の酸素同位体比均一はコンドリュールの形成時代まで保存されていたことも明らかになった.
これらの新しい事実を説明するため,双極流という原始星段階に特異的な現象を利用した新しい太陽系進化シナリオを構築した.本シナリオにおいて太陽系の固体物質は,それらがダストであった段階に,双極流により原始太陽系円盤の内側から外側に環流された.原始太陽系円盤中のダストは中心星に向かい定常的に落下しているので,原始太陽系円盤において大規模な物質大循環と混合が起こっていたことになる.このシナリオは従来知られていた事実も矛盾なく説明できる.これにより,わずか数百万年間の間〓現在観測される惑星間の平均組成や同位体比の差が決定してしまったことが判明した.
【研究代表者】
【研究分担者】 |
平田 岳史 | 東京工業大学 | 大学院・理工学研究科 | 助教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】1997 - 1998
【配分額】10,800千円 (直接経費: 10,800千円)