が-ネット中の陽イオン分布と生成環境に関する研究
【研究分野】鉱物学
【研究キーワード】
ガ-ネット / 希土類ガ-ネット / 結晶構造 / EXAFS解析 / パイロ-プ / アルマンディン / アンドラダイト / 分析電顕 / パイロープ / 希土類ガーネット / EXAFS
【研究成果の概要】
1.天然ガ-ネット
Feを多く含むパイロ-プ(Py)、 アンドラダイト(An)、 アルマンディン(Al)の3種類のガ-ネット中の各陽イオンの席占有率などについて EXAFS分光法、 単結晶X線回折法、 分析電顕法などを用いて解析した。単結晶法による構造パラメ-タの精密化により、 最終R因子はPyとAlでは2%以下、 Anでは4.8%に収斂した。 各試料での陽イオンの席占有率は、 Pyで(Fe^<2+>_<2.73>Ca_<0.61>Mn_<0.10>Mg_<2.69>)(Al_<3.98>Fe^<3+>_<0.03>)(Si_<5.49>Al_<0.58>)O_<24>、 Anで(Fe^<2+>_<0.83>Ca_<5.06>Mn_<0.20>)(Al_<1.94>Fe^<3+>_<1.91>)(Si_<5.99>Al_<0.07>)O_<24>、Alで(Fe^<2+>_<4.87>Ca_<0.13>Mn_<0.19>MG_<0.91>)(Al_<3.94>Fe^<3+>_<0.03>)(Si_<5.93>Al_<0.06>)O_<24>、とそれぞれ求まった。 一方、 Feの周りの局所構造をK吸収端近傍の吸収スペクトルから求めるEXAFS分光法により解析した。 その結果、 FeーOの原子間距離はPyで2.26A^^0、 Anで2.03A^^0、 Alで2.29A^^0であった。 PyとAlではMgとFe^<2+>のイオン半径がほとんど等しいため、 単結晶法で求めた原子間距離にはほとんど差はなかった。 これに対して、 EXAFSから求めた値に差があるのは、 それらのFeの8配位席と6配位席を占める割合が異なるためであることがわかる。 このように2つの方法を併用することが非常に有用であることがわかった。
2.合成希土類ガ-ネット
近年種々の組成のガ-ネットが合成されているが、 希土類を含むガ-ネットでは引き上げ法による合成時にファセットが生成し易い。 その領域内と領域外とで結晶にわずかな性質の違いがあるため、 合成時にクラックの発生する原因になっていると考えられている。 そこで、 単結晶X線回折法により両領域の結晶構造を精密に解析した。 その結果、 化学組成にはほとんど差はないが、 陽イオンー酸素間の原子間距離にわずかな違いのあることが判明した。
【研究代表者】