量子情報の符号化・復号化と多粒子間エンタングルメントを用いた量子情報処理
【研究分野】原子・分子・量子エレクトロニクス・プラズマ
【研究キーワード】
量子情報 / エンタングルメント / 量子暗号 / 量子プロトコル / 量子情報処理 / 量子通信
【研究成果の概要】
本年度は、量子情報の符号化・復号化に関する量子一方向的関数の導入に向けて、昨年度に引き続いて量子ビット系・離散多準位におけるエンタングルメントの新しい性質の探索と量子情報処理への応用に関する研究を行い、次のような成果を得た。
量子ビット系に関しては、混合状態を考察することで非対称性を導入した多量子ビットエンタングル状態を用いて、2量子ビットに符号化した量子情報を、エンタングルメント資源を用いずに復号化するプロトコルを提案した。この非対称混合状態を用いると、制御測定の選び方に応じて量子情報の伝達や破壊を遠隔操作で行うことが可能となる。このプロトコルは、遠隔操作によるエンタングルメント抽出・破壊過程でもあることが示され、量子情報の流れを制御する遠隔量子情報スイッチと考えることもできる。
離散多準位系に関しては、量子情報を量子鍵として用いた認証プロトコルとして、離散多準位エンタングルメントを量子鍵と対となる量子錠として用いる量子錠プロトコルを提案した。この認証プロトコルは、古典情報の通信は行わずに未知の量子状態への演算とやりとりのみで認証を行うものであり、量子情報の複写禁止原理に基づく高い安全性を保持する。
エンタングルメントの基礎理論としては、前年度導いた離散多準位多粒子系における、操作的な意味を持つエンタングルメントの測度のひとつであるエンタングルメント頑強性の性質を探索した。まず、与えられたエンタングルメントを、もっとも効果的に少ない数の混合で壊してしまう純粋状態は何かという点に注目して、離散多準位多粒子エンタングルメントを壊す効力のないノイズを満たす性質を導いた。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究(B)
【研究期間】2003 - 2005
【配分額】3,500千円 (直接経費: 3,500千円)