ハミルトン力学系におけるエルゴード問題の研究
【研究分野】物理学一般
【研究キーワード】
多重エルゴード性 / KAMトーラス / 淀み層理論 / 半古典論 / 量子カオス / 軌道相関 / 不可逆性 / 伏見関数 / 平衡への接近 / 多重エルゴ-ド性 / 散乱カオス / 誘導現象 / 1 / fスペクトル / 法則収束 / リャプノフ指数 / 最近接間隔分布 / 周期軌道 / 多重エルゴ-ド運動 / リャプノフ数 / 中心極限のやぶれ / Large Deviation Theory / スケ-リング則 / エルゴ-ド性 / レベル統計
【研究成果の概要】
本研究では次の点を新しく解明できた。
1.古典ハミルトン系の長時間相関の発生の原因は相空間のフラクタル的構造に由来している。トーラスとカオスの境界領域の淀み層の理論を発展させ、そこでの運動が非定常性と多重エルゴード性をもつことを明きらかにした。我々の淀み層理論は、異常拡散、散乱カオスさらに格子振動系で計算機実験によっても確められた。
2.エネルギーレベルや波動関数の不規則さを量子力学的に精密に表現するとともに、半古典論の立場からカオスの効果を評価することができた。グッツウィラ-公式の収束性や周期軌道の寄与の仕方に強い相関があることを明らかにした。
古典系および量子系に共通の問題,不可逆性の出現の根拠がカオスの分布関数の弱収束性にあることを示した。とくに量子系のエルゴード及び不可逆性の発生がh→oの極限であり得ることを伏見関数の数値計算から予想した。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
斉藤 信彦 (斎藤 信彦) | 早稲田大学 | 理工学部 | 名誉教授 | (Kakenデータベース) |
首藤 啓 | 国立分子科学研究所 | 助手 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】一般研究(C)
【研究期間】1990 - 1992
【配分額】2,200千円 (直接経費: 2,200千円)