スピン反転励起の解明と広帯域色素増感太陽電池への応用
【研究分野】エネルギー関連化学
【研究キーワード】
光エネルギー変換 / 太陽電池 / 色素増感 / ペロブスカイト / 光電気化学 / Ru錯体 / スピン軌道相互作用 / 多接合太陽電池 / 再生可能エネルギー / 交換エネルギー / 全固体色素増感太陽電池 / 有機系太陽電池 / 相対論的量子化学 / 光化学 / 錯体化学 / スピン量子化学 / 光電変換デバイス / 色素増感太陽電池 / 近赤外光電変換 / タンデム型太陽電池 / ペロブスカイト太陽電池
【研究成果の概要】
本研究では、色素増感太陽電池の大幅な広帯域化を可能にするために、スピン反転励起のメカニズムを明らかにし、広帯域・超高効率色素増感太陽電池の実現へと展開するためのデバイス設計が行われた。分子軌道計算をベースに分子設計を行い、光吸収波長の拡張を実現した。新たな酸化チタンの表面修飾方法の開発により、色素増感太陽電池の外部機関での評価で世界最高の光電流値(30mAcm-2)を達成した。広帯域色素増感太陽電池と金属ハライドペロブスカイト太陽電池を組み合わせた多接合分光タンデム型太陽電池で21.5%のエネルギー変換効率の実現に成功した。当研究における数値目標を大幅に超える成果が得られた。
【研究の社会的意義】
スピンの反転を伴う光学遷移はスピン禁制であるため通常観測されず、光エネルギー変換への応用の研究対象となる事はこれまで無かった。本研究課題では、スピン反転遷移の起源といった基礎的観点から実デバイスにおける広帯域光エネルギー変換の実証といった応用的観点まで幅広く研究を行った。その結果、スピン反転遷移を強く示す錯体色素の合成に成功し、開発著しい有機系太陽電池の分野において最高のエネルギー変換効率を達成した。またこれらスピン反転励起が可能な色素は、国際特許出願を行い製品化・販売された。このように、基礎化学的開拓のみにとどまらず、実社会への還元まで視野に入れた挑戦が研究成果に大きく結びついた。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究(A)
【研究期間】2014-04-01 - 2019-03-31
【配分額】24,440千円 (直接経費: 18,800千円、間接経費: 5,640千円)