MRSA及び肺炎球菌に抗菌活性を示すポリ酸を基盤とする消毒剤と医薬品の開発
【研究分野】機能・物性・材料
【研究キーワード】
MRSA / ポリ酸 / PBP2' / mecA / PCP法 / 肺炎連鎖球菌 / 抗ウイルス作用 / β-ラクタマーゼ / PBB2′ / fem / PCR / ポリタングステン酸イオン / ベータ ラクタマーゼ / ペニシリン結合蛋白質 / ベータラクタマーゼ / ヘテロポリ酸 / バナジン酸 / バナジル化合物 / 抗MRSA活性 / 抗肺炎球菌活性 / ペニシリン結合蛋白 / ポリタングステン酸
【研究成果の概要】
これまでポリ酸の中でタングステンのポリ酸はβ-ラクタム抗生物質との共存下でメシチリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の増殖を抑制することを見出し,これはMRSAのペニシリン結合タンパク(PBP)の一つであるPBP2'の発現抑制に基因していることを明らかにしてきた。4年間の本研究を通して、主に抗MRSA活性メカニズムを中心に調べ以下の重要な結果を得た。
(1)タングステンのポリ酸はMRSAの細胞膜内に取り込まれ細胞膜上のPBP2'とβ-ラクタマーゼの産出を抑制することを明らかにした。
(2)最小生育濃度(MIC)の1/50-1/100に相当する量のポリ酸共存下での継代培養によりmecA遺伝子の発現が抑制されることが明らかにされた。このmecA遺伝子の発現抑制はタングステンのポリ酸だけでなくモリブデン、バナジウムのポリ酸の存在下でも観測された。
(3)バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(VRSA)についてもMRSAと類似の傾向が認められVRSAについてもポリ酸の有効性が明らかとなった。
(4)バナジウムのポリ酸が酸化体、還元体を問わず肺炎連鎖球菌Streptococcus pneumoniaeに対し大きな増殖抑制効果を示すことも見出された。
(5)[Pti_2W_<10>O_<38>(O_2)_2]^<7->が宿主細胞に吸着したウイルス(コクサッキーB5型、EMCウイルス9型、インフルエンザAおよびB型など)のエンベロープの細胞膜への溶解を阻害することが明らかとなった。
(6)[(VO)_3(SbW_9O_<33>)_2]^<12-/11->がエンベロープを持つRNA,DNAウイルスに有効で例えばHIV-1に対し臨床で使用されているAZT,DSより高いインデックスを与えることが見出された。
【研究代表者】