スペクトル・散乱理論の研究
【研究分野】解析学
【研究キーワード】
スペクトル / 散乱理論 / 波動作用素 / 準古典近似 / ソリトン / 有限要素法 / 数値解析 / 量子群
【研究成果の概要】
科学研究費補助金(一般研究C)「スペクトル・散乱理論の研究」によって得られた成果を箇条書きにする。
1.多体Schroedinger作用素の散乱問題において波動作用素の完全性に関して北田均等によって短距離系に対する波動作用素の完全性の新たな証明が得られ,遠距離系に対する完全性の証明にも重要な進展があった。
2.Schroedinger作用素の散乱・resonanceの問題に関して,resonanceのおよびtime-delayの準古典近似の問題が中村周等によって研究され準古典領域におけるresolvent等の振る舞い明確にされた
3.Schroedinger作用素の波動作用素あるいはSchroedinger作用素の関数のSobolev空間あるいはBesov空間における写像としての性質が中村周,谷島賢二等によって研究され,種々の空間の間の有界性等多くの性質が明らかになった。これらの研究は非線形微分方程式のこれからの研究に大いに役立つものと期待される。
4.スペクトルの逆問題に関連した研究が薩摩順吉等によって進められ,soliton方程式,非線形波動方程式のの解の構造,あるいは完全積分系に関する多くの新たな知見が得られた。
5.スペクトルの数値解析に関連して有限要素法の数値解析の研究が菊地文雄,金子晃等によって進められ,多くの新たな知見が得られた。
6.その他,分担者たちは多くの関連した研究を進展させた。主なものは野海正俊による量子群の研究,小林俊行による非可換調和解析の研究,山崎満によるBoltzmann方程式の研究,木村弘信による超幾何関数の研究及び太田啓史・古田幹雄による多様体の微分構造の研究等である。
【研究代表者】