酸化物におけるパルス電場誘起の不揮発かつ可逆的な物性変化
【研究分野】物性Ⅱ
【研究キーワード】
強相関系 / 薄膜 / 界面 / 強相関係
【研究成果の概要】
1.パルス電場印加によって電気抵抗が変化する物質の探索
パルス電場印加によって電気抵抗が不揮発かつ可逆的に変化する物質がペロブスカイト型マンガン酸化物薄膜によって見出されている。様々な遷移金属酸化物(TiからCuまで)のエピタキシャルな薄膜を作製し、この現象がマンガン酸化物に特有のものかどうかを調べた。その結果、いずれの遷移金属酸化物においても、マンガン酸化物によく似た電気抵抗変化を起こすことを見出した。
2.絶対光学反射率の空間分布を測定する装置の開発
薄膜等の光学反射率の絶対値を、400nmから900nmまでの任意の波長で、1マイクロメートルの空間分解能でイメージングできる装置を開発した。これは、顕微分光用の顕微鏡にCCDカメラをとりつけ、絶対反射率が既知の参照試料と試料を正確に入れ替えることにより、1%程度の精度まで正確に試料の絶対反射率の空間依存性が測定できる装置である。
3.顕微分光装置を用いたパルス電場誘起効果の研究
2.で開発された顕微分光装置を用いて、電場印加によって電気抵抗変化が変化する薄膜の測定を行った。(LaSr)FeO3薄膜にITO電極をつけた試料に電場を印加したところ、不揮発に光学反射率の変化の空間分布が変化することが明らかになった。波長依存性の解析の結果、電極間に過剰酸素に由来する伝導度の高い部分が現れること、電場によって過剰酸素が集団的に動くことにより、伝導度の高い部分の位置も電極位置に対して動くこと、それが結果として電気抵抗の変化につながること、を明らかにした。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究(A)
【研究期間】2005 - 2006
【配分額】18,980千円 (直接経費: 14,600千円、間接経費: 4,380千円)