キラル物質における対称性の破れと電磁応答
【研究分野】物性Ⅱ
【研究キーワード】
カイラリティ / 電子 / スピン / 弾性 / 対称性 / 量子論 / 応答 / カイラル磁性体 / 非線形応答 / 非局所応答 / スピンダイナミクス / カイラル物質 / 磁性 / ソリトン格子 / カイラルフォノン / キラリティ / 電磁応答 / らせん磁性 / ダイナミクス / 物性物理学 / 物質科学 / 物質中の電磁場
【研究成果の概要】
代表者は2005年頃よりカイラル結晶特有の磁性現象に取り組み、カイラル物質中で電子スピンのダイナミクスがカイラル環境下で示す非対称・非局所・非線形・非相反現象を明らかにしてきた。磁性研究は2016年頃までにほぼまとめ、光と弾性の研究に移った。2017年には、カイラル物質中を伝搬する電磁波が特有の保存量を運ぶことを示した。この保存量は電場と磁場の空間微分を含み、空間反転で符号を変える擬スカラー量である。真空電磁波についてはZilchとして知られていたが、これをカイラル媒質中の光に拡張した。そして2020、宿願であったカイラル結晶特有のフォノン(カイラルフォノン)の理論を完成させた。
【研究の社会的意義】
右手と左手は,互いに鏡映しの関係にあるが互いに重ならない.この形態をカイラリティという.らせん階段はカイラリティの身近な例である.ミクロな世界の分子や結晶内部の原子の並び方もカイラルな構造を持つことがある.不思議なことに,カイラルな物質は光や電場,磁場,さらに弾性的な歪に対して特徴的な応答と機能を示す.こうした「カイラル応答」の研究の源流は19世紀前半に遡るが,量子論に基づく統一的な理解の試みは比較的最近始まったばかりである.代表者(岸根)らは,過去15年ほどこの方向の研究に携わってきた.今回の大きな研究成果として,光・電気磁気・弾性という結晶が示す三大応答のつながりを理論的に明らかにした.
【研究代表者】