電子輸送の概念に革新をもたらす「二次元モアレポンプ」の実現
【研究キーワード】
ファンデルワールス接合 / グラフェン / MEMS / モアレ / 二次元結晶 / ツイスト角度 / 六方晶窒化ホウ素 / 二次元マテリアル / モアレポンプ
【研究成果の概要】
本研究で鍵となるの技術は原子層間ツイスト角度の精密な制御である。そこでより高精度のツイスト角度制御を可能とする新規原子層転写技術を構築した。現在最も注目されている現象は魔法角で積層された2層グラフェン超伝導の発現であるが、それ以外にも多彩な物性が期待されている。特に今期はトンネル伝導を利用することで、ツイスト二層グラフェンの状態密度を実験的に導出することを試みた。実際、単層グラフェン/h-BNトンネルバリア/三層グラフェンの共鳴トンネル効果を観測し、バンド分散に関する実験的な情報を得た。さらに、ツイスト二層グラフェン/h-BNトンネルバリア/グラファイトの欠陥アシスト共鳴トンネル効果を観測し、伝導データから状態密度を実験的に導出することに成功した。この手法は様々な対象に対して展開できるため、拡張性が高い。さらに原子層転写技術とMEMS技術を組み合わせることで、ファンデルワールスヘテロ構造においてツイスト角度の連続的な可変制御を目指した。具体的には、開発したMEMSは位置及び回転角制御において非常に優れた精度をもち、原子層位置の緻密な制御を可能とする。そこで積層構造を移動させたい部分で上下に分け、まず下部となる積層構造をSiO2/Si基板上に作製したのち、回転部となる上部の層状物質をMEMSの駆動部に転写する。MEMSの正確な位置制御によって上部の積層構造を移動及び回転させることを試みている。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
年吉 洋 | 東京大学 | 生産技術研究所 | 教授 | (Kakenデータベース) |
越野 幹人 | 大阪大学 | 理学研究科 | 教授 | (Kakenデータベース) |
|
【研究種目】基盤研究(A)
【研究期間】2020-04-01 - 2023-03-31
【配分額】45,500千円 (直接経費: 35,000千円、間接経費: 10,500千円)