強誘電性液晶混合系における長周期構造と無閾反強誘電状態の解明
【研究キーワード】
強誘電性液晶 / 非線形光学 / 誘電率 / フラストレーション / 液晶 / 強誘電性 / フラステーション / スメクチック
【研究成果の概要】
前年に引き続き、MC452-MC881混合系液晶試料について、反強誘電相を示す混合割合のもの(S1)、無閾反強誘電層を示す混合割合のもの(S2)、強誘電性を示す混合割合のもの(S3)を調合して、電場により強誘電相に転移する前後での誘電特性の変化を1~10000 Hzの周波数範囲で測定した。
その結果、強電場印加前の基底状態においてはS1とS2は反強誘電的な誘電応答を示し、S3は強誘電的な応答を示すことが確認された。その後、試料に強電場を印加し、強誘電状態に転移し、電場を除去した直後の応答を測定したところ、S1とS3は基底状態と変化はなく、それぞれ反強誘電性、強誘電性的な応答を示すのに対して、基底状態が反強誘電的であったS2は強誘電的な応答を示していた。
強誘電的な挙動を示すようになったS2試料の緩和過程を調べるために、9.9 Hzの単一周波数での誘電応答の時間変化を観測した。誘電率は電場印加後から1000秒程度までは、単一指数関数で半分の値まで緩和した後に、緩和速度が緩やかになり、10000秒を超えても緩和が継続することが確認された。10000秒後の値も、電場印加前と比較すると3倍以上の値となっており、基底状態への緩和に非常に長い時間が必要であることが確認された。
また、現象の一般性を確認するために、上記のMC452-MC881混合系に加えて、無閾反強誘電性混合物として、より優れた特性を示すとされ、ディスプレイの試作も行われたMC815-MC881混合系についての測定を開始したが、こちらについては混合系の相図等も知られていないために、基礎データの集積を行っている。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2019-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)