超高真空中走査型マイクロ4端子プローブによる局所表面電気伝導の研究
【研究分野】表面界面物性
【研究キーワード】
4端子プローブ / 金属絶縁体転移 / パイエルス転移 / 表面電気伝導 / シリコン / 表面超構造 / 弱局在 / 擬1次元金属 / 2次元吸着原子ガス / 4探針 / 超高真空 / 光学顕微鏡 / RHEED
【研究成果の概要】
「マイクロ4端子プローブ測定装置」を設計・製作し、完成させた。この装置では、超高真空中で試料温度を室温から10Kまでの範囲で変化させて電気伝導度を測定できる。また、デンマーク工科大学で製作されたマイクロ4端子プローブ(プローブ間隔が4〜40μm)を光学顕微鏡で観察しながら、ピエゾスライドで試料表面に向けて接近・接触させて、ミクロな領域の電気伝導を測定する。また、RHEED(反射高速電子回折)によって試料表面の表面超構造をその場で確認・制御できる。この装置による測定で以下の発見があった。
(1)擬1次元金属系のSi(111)-4×1-In表面を冷却していくと、120K(付近で8×"2"構造の相転移するが、そのとき、電気抵抗が急激に上昇し、金属絶縁体転移を起こすことを見出した。これは、電荷密度波をともなうパイエルス転移説に矛盾しない結果となった。
(2)2次元金属系のSi(111)-√<3>×√<3-Ag>表面を冷却していくと、230K付近で急激に電気抵抗が上昇し、金属絶縁体転移を起こすことを見出した。光電子分光法によるバンド構造の研究も合わせ、低温相はバンド絶縁体ではないことを明らかにし、弱局在に起因する可能性がある。
(3)擬1次元金属系として知られていたSi(557)-Au表面の電気伝導度の温度依存性は、室温以下で熱活性型の半導体的な振る舞いを示した。これは、欠陥によって金属鎖が分断され、ホッピング伝導をしていることに起因すると考えられる。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
松田 巌 | 東京大学 | 大学院・理学系研究科 | 助手 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(A)
【研究期間】2001 - 2003
【配分額】39,130千円 (直接経費: 30,100千円、間接経費: 9,030千円)