ゲル包括酵素と多孔質薄膜担体を用いたバイオケモメカニカルバルブの作成
【研究分野】医用生体工学・生体材料学
【研究キーワード】
ゲル / ゲル包括酵素 / 体積相転移 / バイオケモメカニカルシステム / バイオケモメカニカルバルブ / 多孔質薄膜担体 / 液体透過制御 / グルコースオキシダーゼ / ウレアーゼ / ゲルの体積相転移 / グルコースオキシターゼ / 液体透過が制御 / バイオケモメカニカルバイブ
【研究成果の概要】
ゲル内に適当な酵素を包括固定化しておき、ゲルを取り囲む外部溶液に基質分子を添加すると酵素反応が起こり、ゲル内及びゲル近傍で基質/生成物比(溶媒組成)が変化する。その結果として、ゲルは体積相転移を起こし伸び・縮みする。このゲル包括酵素は、生物化学反応(酵素反応)のエネルギーを、ゲルの伸び・縮みを通して、力学エネルギーに変換可能な材料系、即ち‘バイオケモメカニカルシステム'と考えることが出来る。本研究は、多孔性担体のポアの中に酵素を含むゲルを充填し、外部から導入された基質分子(分子刺激)によりポア内のゲルを収縮(又は膨潤)させ、担体とゲルの間に微細間隙を形成させることにより、間隙を通る液体の透過が制御できる複合材料系を構築しようとする試みである。
本複合材料系は、バイオケモメカニカルシステムの発展であり、生物化学的変化に応答して物質透過が制御できる‘バイオケモメカニカルバルブ'ある。従って、研究は(1)ゲルの体積相転移に関する分子論的解釈法の確立、(2)バイオケモメカニカルゲルの構築法および(3)バイオケモメカニカルバルブの作成と性能試験の三つを骨格とし実施した。その結果、高分子ゲルを用いてバイオケモメカニカルシステムを構築しようとする場合、“生物化学反応によって架橋高分子鎖間に働く斥力と引力のバランスを変化させ、ゲルの体積相転移を誘起させる"と言う概念を提示できた。さらに、この概念を基本として、ウレアーゼによる尿素の加水分解、グルコースオキシダーゼ又はグルコースデヒドロゲナーゼによるグルコースの酸化を利用して、溶液透過が制御できるバイオケモメカニカルバルブの作成に成功した。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
谷 英郎 | 興和(株) | 開発本部 | 本部長 |
吉田 亮 | 筑波大学 | 応用生物化学系 | 講師 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(A)
【研究期間】1996 - 1998
【配分額】11,200千円 (直接経費: 11,200千円)