次世代情報技術に対応する大容量・超高速アクセス液晶メモリー
【研究分野】高分子構造物性(含繊維)
【研究キーワード】
ホログラム / 液晶 / アゾベンゼン / 光記録 / 光スイッチング / 高分子 / 屈折率 / 回折格子 / 3環フェニルアセチレン / フォトクロミズム / 複屈折 / ホログラフィー / 屈折率変調 / 光相転移
【研究成果の概要】
ホログラムは光の干渉によって形成される回折格子中に光信号の強度情報と位相情報を同時に合わせもつため,画像情報の高密度多重記録・再生が可能である。これまでにホログラム記録材料として,有機色素/ポリメチルメタクリレートという原始的な有機材料や無機のフォトリフラクティブ材料が用いられているが,記録情報の書き換えや薄膜化が困難なことや,書込速度・アクセス速度の点で実用材料には到っていない。高速アクセスが可能な書換型高密度ホログラフィックメモリーを実現するためには,光によって屈折率を高速に,しかも可逆的に変調でき,かつ加工性に優れた新しい材料を開発する必要がある。
本研究では,1)製膜性に優れる高分子と,2)屈折率異方性をもつ液晶と,3)可逆的な光異性化反応を示すフォトクロミック分子を組み合わせ,ナノ秒スケールで高速にデジタル情報が書き込め,かつ書き換えが可能な高密度ホログラフィックメモリーを構築することを目的とした。
高分子アゾベンゼン液晶系におけるホログラム書き込みの応答性を調べるため,二光束に分けたピコ秒レーザーパルス(355nm;20ps,fwhm)をサンプルフィルム(膜厚:100nm)上で干渉させ,一次回折光の発生および減衰の過程を時間分解測定した。その結果,レーザーパルス照射により回折光は200nsで立ち上がり,極めて高速な応答を示すことが分かった。さらに,高分子アゾベンゼン液晶の厚膜(膜厚:20μm)を用い定常光で書き込みを行ったところ,ブラッグ領域でのホログラム記録が可能となり,43%という従来に比べ高い回折効率が達成できた。さらに,この記録は書き換え可能であることが明らかとなった。
【研究代表者】