量子臨界点近傍の新奇超伝導状態の解明
【研究分野】物性Ⅱ
【研究キーワード】
量子臨界点 / 電子ネマティック相 / 反強磁性 / 量子揺らぎ / 高温超伝導 / 圧力効果 / 非フェルミ液体 / 異常金属 / 電子相図 / 化学置換 / 超伝導ギャップ / 有効質量 / 回転対称性 / 低温物性測定 / 超伝導 / 量子相転移 / BCS-BECクロスオーバー / フェルミエネルギー / 強結合超伝導 / 超伝導揺らぎ / 電子ネマティック秩序 / 非従来型超伝導 / 擬ギャップ
【研究成果の概要】
絶対零度における二次相転移である量子臨界点近傍で発達する揺らぎが、超伝導や電子物性にどのような影響を及ぼすかを明らかにするために、鉄系超伝導体FeSeにおけるS置換効果と圧力効果を調べた。その結果、S置換系では、回転対称性の破れた電子ネマティック相が抑制され、非磁性のネマティック量子臨界点を実現した。この近傍では、超伝導転移温度は低いものの、非フェルミ液体的振舞いが観測された。一方、圧力印加では、電子ネマティック相が完全に抑制される前に圧力誘起の反強磁性が出現し、圧力印加とともにドーム構造を示すことが明らかとなった。さらに、高圧側で反強磁性が抑制されるとともに高温超伝導相が実現した。
【研究の社会的意義】
本研究でFeSe超伝導体における化学置換により、非磁性の電子ネマティック量子臨界点が初めて実現し、様々な物質で見られている反強磁性量子臨界点との比較が可能となった。その結果、反強磁性量子臨界点近傍でしばしば観測されている温度に比例する電気抵抗の温度依存性が、ネマティック量子臨界点においても見られることが明らかとなった。また、超伝導転移温度はネマティック量子臨界点によるネマティック揺らぎにより上昇する振る舞いは見られず、むしろ圧力印加により出現した反強磁性の揺らぎがこの系の高温超伝導発現により重要な役割を果たしていると考えられる。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
水上 雄太 | 東京大学 | 大学院新領域創成科学研究科 | 助教 | (Kakenデータベース) |
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【研究協力者】 |
下澤 雅明 | 東京大学 | 物性研究所 | 助教 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(A)
【研究期間】2015-04-01 - 2019-03-31
【配分額】43,160千円 (直接経費: 33,200千円、間接経費: 9,960千円)