多成分流体における非平衡ゆらぎ
【研究分野】物性一般(含基礎論)
【研究キーワード】
非平衡 / 非線形 / ゆらぎ / 相変化 / 相制御 / 相転移ダイナミクス / 光励起 / フェムト秒ダイナミクス / 閾値特性 / 孵化時間 / 多成分系 / 流体 / 非平衡系 / 相転移 / 反応・拡散系 / 揺らぎ / 非平衡熱力学 / 光誘起相転移
【研究成果の概要】
エネルギーや物質が持続的に注入、除去されている非平衡系においては、系固有の非線形性との結合によって、様々な巨視的かつ動的な現象が発生する。これはナノ・ミクロスケールで発生したゆらぎが、マクロスケールなものへと成長した結果である。本研究は、光、熱、圧力、物質注入によって生ずる非平衡状態に焦点を絞り、その動的過程の追跡、解析を理論的、実験的に行うことを目的とした。本年度得られた成果は以下の通りである。まず理論面では、非平衡条件における化学反応系に関して、変分法が重力、さらには一般のホテンシャル場における反応拡散系に拡張することが可能であることを明らかにすることが出来た。さらに、光分解によって生じたラジカルの再結合反応において、外部磁場ならびに内部の磁場揺らぎの効果について理論的に考察することも可能となった。実験面では、誘電、光学特性、磁性、構造の変化を伴った可逆相転移が、温度、磁場、電場、光刺激等で発生することを確認することに成功した。例えば、中性状態とイオン性状態のエネルギーレベルがほとんど縮退しているCT錯体結晶では、温度降下や加圧によって両状態間の転移(中性-イオン性相転移)が発生する。本研究では、電荷の移動量を制御することによって、長距離クーロン相互作用と電子-格子相互作用が協調する環境を創り出すと、強誘電的な変化を伴った相転移が発現することを明らかにした。さらに、100フェムト秒パルス幅を持ったレーザー光励起によってこの中性-イオン性相転移が引き起こせることや、発生機構が電荷移動励起子状態の凝縮として解釈できることも理論的解析によって明らかとなった。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
石川 忠彦 | 東京工業大学 | 大学院・理工学研究科 | 助手 | (Kakenデータベース) |
北原 和夫 | 国際基督教大学 | 理学部 | 教授 | (Kakenデータベース) |
BEDEAUX Dick | LEIDEN UNIVERSITY, PROFESSOR |
BEDEAUX Dick | ライデン大学 | ゴルウエス研究所 | 教授 |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】1998 - 2000
【配分額】2,800千円 (直接経費: 2,800千円)