Dirichlet形式,等周不等式を用いた多次元拡散過程の新しい構成方法
【研究分野】数学一般(含確率論・統計数学)
【研究キーワード】
拡散過程 / Dirichlet形式 / フラクタル / Sierpinski Carpet / 等周不等式 / マルコフ過程 / ランダム行列 / determinantal random point field / Dirichlet form / heat kernel / ディリクレ形式 / パーコレーション
【研究成果の概要】
本研究は研究代表者が開発したDirichlet形式を用いた拡散過程のある構成法をSierpinskiカーペットを代表とする無限分岐的フラクタル、さらに無限粒子系の空間やパス空間といった無限次元空間など興味深いが通常の方法ではその上に拡散過程を構成しにくい空間に拡散過程を構成しその性質を調べることを目的とした。研究の発端となったフラクタルの場合にはハウスドルフ測度に対する特異時間変更でパスの連続性が保たれることを証明し、結果としてブラウン運動とは異なるがハウスドルフ測度を不変測度とする自己相似拡散過程をフラクタルの上に構成することができた。ランダムフラクタルについては「バブル」と呼んでいる自然な統計的自己相似性を持つフラクタル集合を考え出し、上に述べた拡散過程の構成方法の一般論の部分から、この上に拡散過程を構成した。これが如何によい性質を持っているかを突き詰めていくのは今後の課題となった。また、フラクタルの上のパーコレーションについていくつかの新しい知見が得られた。無限粒子系の空間に関しては、定常測度が「determinantal random point field」と呼ばれるランダム行列の理論と関係が深い確率測度のクラスに対して、あるレベルでで拡散過程の構成を行うことができた。このクラスは従来のRuelleクラスのGibbs測度とはまた違った範疇のもので今後研究が進展していくと思われる。パス空間の場合にはその上のGibbs測度の存在およびそれを定常状態とする拡散過程の構成を行った。Gibbs測度の混合性についてもいくつかの知見を得た。だが、この無限次元拡散過程の興味深い性質の探求は今後の課題である。
【研究代表者】