多自由度相関系における巨大負熱膨張現象の理論研究と物質探索
【研究キーワード】
負熱膨張 / ハニカム格子 / 反強磁性体 / 磁気相転移 / 磁気格子結合 / 熱体積効果 / 磁気体積効果 / スピン-格子結合 / 強相関電子系 / モリブデン酸化物 / 軌道自由度 / 多軌道d-pモデル / 逆ペロフスカイト構造 / マンガン窒化物 / フラストレーション / 電子相関 / 磁性 / 格子自由度
【研究成果の概要】
2021年度の研究では、特異な結晶格子構造と非自明な磁気構造のカップリングに起因する「負熱膨張現象」を示す磁性化合物の理論的な探索・設計を目的に、ハニカム型結晶構造を持つ反強磁性体を対象に、磁性誘起負熱膨張現象の可能性や条件を理論的に調べた。この物質群の結晶構造は、MX6八面体(Mは遷移金属イオン、Xは配位子イオン)の2次元陵共有ネットワークにより構成されており、遷移金属イオンがハニカム格子を形成する。ハニカム格子を持つ反強磁性体は数多くの物質例が知られており、物質探索を行う上で、普遍的かつ典型的な物質群と言うことができる。これらの物質では、上記の特殊な結晶構造のために、遷移金属イオン上にある磁化間に働く相互作用が、異なる結合パスに由来する相反する寄与から構成される。つまり、遷移金属イオン間の直接180度ボンドに起因する反強磁性交換相互作用と、配位子イオンを介した遷移金属イオン間の間接90度ボンドに起因する強磁性交換相互作用である。これらの、二種類の交換相互作用のボンド長依存性を通した磁気-格子結合の効果と、磁気的相互作用、格子の弾性エネルギー項を考慮したハニカム格子上の古典スピン-格子結合モデルを構築し、これを古典モンテカルロ法を用いた解析した。比熱や磁気相関関数、線形体積膨張率などの物理量の温度依存性を調べることで、ある条件下では、温度降下により反強磁性への磁気相転移が起こると同時に、結晶体積が膨張する「反強磁性転移誘起負熱膨張現象」が起こることを発見した。さらに、その物理機構について、あるメカニズムを仮定して計算結果を定量的に再現することで解明することに成功した。上記の成果を、論文にまとめて発表した。また、学会等での成果発表を行った。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
勝藤 拓郎 | 早稲田大学 | 理工学術院 | 教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】挑戦的研究(萌芽)
【研究期間】2019-06-28 - 2023-03-31
【配分額】6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)