ランダム量子系のスケーリング理論
【研究キーワード】
スケーリング理論 / Anderson転移 / 非エルミート系 / 量子多体系 / 量子相転移 / アンダーソン転移 / トポロジカル絶縁体 / ワイル半金属 / 局在非局在転移 / 転送行列 / 準位統計 / 機械学習 / CNN / LSTM / ランダム系 / 普遍クラス / 臨界指数 / アンダーソン相転移 / マルチフラクタル / Floquet
【研究成果の概要】
2020年度は本課題が始まって2年目となる。前年度に立案した計画に従い以下の成果をあげた。
1)トポロジカル物質中の波束のダイナミクス:乱れたトポロジカル絶縁体・ワイル半金属における波束の弾道的運動を,運動方程式を解くことでシミュレーションし,状態密度のスケーリング理論(Phys. Rev. Lett. 112, 016402 (2014))により申請者らが提案した速度のスケーリング則を実証した(業績リスト[1])。
2)非エルミート系のAnderson転移:非エルミート性が物性をどのように変えうるかが最近注目を集めている。今年度は非エルミート性を含むポテンシャルを導入することで,Anderson転移の臨界指数が変わることを準位統計から実証した(業績リスト[2])。また,非エルミート系における転送行列法の性質を解析的に調べた。
3)機械学習の適用: 申請代表者は2016年に多層畳み込みニューラルネットワーク(CNN), いわゆる深層学習により固有関数を判定することでランダム量子系の相図を決定できることを明らかにしている[J. Phys. Soc. Jpn. 85, 123706 (2016)]。本年度はこの手法を密度汎関数理論から計算したドープされた半導体における波動関数適用し,金属絶縁体転移の臨界不純物濃度を評価した。また,量子kicked rotorにおける波束のダイナミクスを数値計算から求め,波束の広がり幅をlong-short term memory (LSTM)ネットワークという機械学習の手法で解析し,局在非局在転移の相図を決定した。
【研究代表者】