スピン系の多体現象に対する量子性とランダムネスの効果に関する研究
【研究分野】物性一般(含基礎論)
【研究キーワード】
スピングラス / スピングラス相の磁場中安定性 / エイバング現象 / 累加的記憶効果 / ハイゼンベルグ反強磁性模型 / 量子モンテカルロ法 / 非磁性不純物誘起ネール長距離秩序 / ひねり秩序変数 / (磁場シフト)エイジング現象 / 液滴描像 / n足梯子模型 / VBS描像 / 擬1,2次元反強磁性体 / 量子的非磁性基底状態 / エイジング現象 / 温度カオス効果
【研究成果の概要】
1]ハイゼンベルグ反強磁性(HAF)模型について連続虚時間・ループアルゴリズムの量子モンテカルロ法シミュレーションを行い、この模型で記述される、以下のような新奇な量子磁性現象の出現機構を明らかにした。1)量子的非磁性基底状態をもつ2次元HAF模型のサイトまたはボンドをランダムに希釈したときに出現する非磁性不純物誘起ネール長距離秩序、2)ボンド交替鎖がn本結合したn足HAF梯子模型における量子相転移、3)鎖(層)間相互作用が小さい擬1(2)次元HAF模型のネール温度の鎖(層)間相互作用依存性とその自己無撞着RPA理論による解釈、4)S=1ランダムボンド交替鎖HAF模型の基底状態相図の、「ひねり秩序変数」に基づく決定(3,4は論文投稿中)。
2]ランダムネスとフラストレーションが共存するスピングラス(SG)におけるエイジング現象の解明のため、古典スピン系SGに対するモンテカルロ法シミュレーションを行い、以下のような新たな知見を得た。1)4次元イジングEA-SG模型のエイジング現象におけるスピン緩和が示す、臨界領域から熱活性化過程領域へのクロスオーバー、2)3次元イジングEA-SG模型の温度シフトエイジング過程におけるスピン緩和は、温度シフト幅が小さいと累加的記憶効果を示すだけだが、シフト幅がある程度大きくなるとSG相に固有な温度カオス特性が反映された振舞を示すこと・、3)前項と同じ模型における磁場シフトエイジング現象の解析から、SG研究の当初から論争が続いてきた、SG相の磁場中安定性の問題に対して、「不安定」を強く示唆する結果を得た。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
富田 裕介 | 東京大学 | 物性研究所 | 助手 | (Kakenデータベース) |
福島 孝治 | 東京大学 | 大学院・総合文化研究科 | 助教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2002 - 2003
【配分額】1,800千円 (直接経費: 1,800千円)