準非破壊型飛行時間検出器による超重元素探索の高効率化
【研究キーワード】
飛行時間検出器 / 薄膜 / マイクロチャンネルプレート
【研究成果の概要】
本研究の目的は、薄膜とマイクロチャンネルプレートを用いて、低エネルギーな軽粒子に対しても高時間分解能、高検出効率が得られる準非破壊型飛行時間検出器を開発し、超重元素探索実験の高効率化を目指すものである。計画段階においては、当該年度は小型試作機を用いた基礎データ収集であったが、大型実機で使用を予定していたマイクロチャンネルプレートを借用することができた為、大型実機の設計・製作を行い、九州大学タンデム加速器からのビーム用いて性能評価を行った。
準非破壊型飛行時間検出器ではビームが薄膜へ入射することにより、薄膜より二次電子が放出し、その二次電子を電場にてマイクロチャンネルプレートへ輸送することにより、信号を得る。まずシミュレーションにて目標である時間分解能:50ピコ秒、検出効率:90%以上を達成できる電場条件を調査し、現実的な条件でシミュレーション上では時間分解能:50ピコ秒、検出効率:95%以上を達成できる結果を得た。
シミュレーションに基づいて、大型実機を製作し性能評価を行った。薄膜にはマイラー0.5ミクロンの片面に200オングストロームの金を蒸着し、二次電子の放出量増大を図った。九州大学タンデム加速器からの28Siビームを利用した性能評価で得られた時間分解能は検出効率は、薄膜中心付近でそれぞれ250ピコ秒、97%であった。これらの値にはビームの入射位置による依存性が観測され、薄膜周辺では性能が低下することが分かった。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2021-04-01 - 2024-03-31
【配分額】4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)