水素分子薄膜における新しい超流動状態の探索
【研究分野】固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
【研究キーワード】
超流動 / 水素 / 薄膜 / アルカリ金属
【研究成果の概要】
本研究は、新しい超流動現象の発見を目指し、アルカリ金属を微少量蒸着した固体基盤に物理吸着した水素分子薄膜の超流動の探索を実験的に行うものである。
分子状水素薄膜が示しうる新しい超流動現象を実験的に探索することを目的として、
(1)超流動転移を高い精度で測定できる高感度ねじれ振動子、および振動子にアルカリ金属を低温で微少量蒸着できる蒸着源の開発
(2)アルカリ金属を上記方法で微少量蒸着した基板に水素分子を物理吸着させ、ねじれ振動子法による水素の超流動の探索
を行い、以下のような成果を得た。
(1)平成11年度に引き続き、アルミニウム5056合金、及びベリリウム銅合金を用いたねじれ振動子装置を開発し、50mKの極低温度までの動作試験を行い、振動子のQ値が3x10^6という高い値を得た。さらにアルカリ金属低温蒸着装置を製作した。
(2)続いてアルカリ金属(セシウム)を約5原子層蒸着したアルミニウム基板に水素分子を吸着させ、上記ねじれ振り子を用いた超流動転移の探索を行った。これまで、水素分子吸着量が0.5〜1.0原子層の被覆率領域について4.2Kまでの温度域で超流動探索を行い、超流動転移を示す共振周波数・振幅の異常は観測されなかった。従ってこの温度域・被覆率領域においては超流動状態が存在しないと結論した。
【研究代表者】
【研究種目】萌芽的研究
【研究期間】1999 - 2000
【配分額】500千円 (直接経費: 500千円)