レーザーコンプトン散乱による短パルス軟X線顕微鏡の実現
【研究分野】素粒子・原子核・宇宙線・宇宙物理
【研究キーワード】
軟X線 / 高品質電子ビーム / 逆コンプトン散乱 / 高輝度レーザー / 時間安定化 / 空間安定度 / 軟X線発生 / 顕微鏡
【研究成果の概要】
平成18年度は特に、全固体Nd : YLFレーザーの一層の高輝度化研究と軟X線発生システムの高度化による輝度増強とノイズ除去について集中的に研究を進めてきた。
具体的には以下のような研究の発展を見た。
我々はNd : YLFレーザーからのIR光を取り出した後更にマルチパスアンプを組み、レーザーパワーの増強を目指した。昨年度のIRレーザーのパワーは最大でも20mJ程度であったがなお一層の高輝度化を目指して、後置のNd : YLFレーザーロッドとフラッシュランプを用いた増幅器を複数回通すことで輝度増強を行った。結果、3パスアンプシステムを構築し、30mJを超えるIRパルスを安定的に得ることに成功した。
一方軟X線発生システムの高度化のために、今年度は新たに次のコンセプトを実現するための新しい衝突チェンバーを導入した。すなわち、昨年度までは電子線を衝突点で収束することに伴い、衝突後にビームが発散し、ビームダクト等との相互作用により大きな制動X線によるノイズの影響を大きく受けていた、また衝突用レーザー光もチェンバー内での散乱によりX線計測システムに大きなバックグランドを与えていた、そこで今年度は、電子ビームおよびレーザー光の通過する空間を自由空間とし、電子ビームのハロー等に伴うX線発生を極限まで低減化し、またレーザーについても散乱による計測システムに対するノイズを非常に小さくすることに成功した。また更に、衝突角の自由度、衝突点のスキャンなど、軟X線顕微鏡開発の基礎データを極めて精度よく取得することに成功した。
【研究代表者】