長基線ニュートリノ振動実験における非軸ニュートリノビーム生成・制御の研究
【研究分野】素粒子・原子核・宇宙線・宇宙物理
【研究キーワード】
素粒子実験 / 放射線、X線、粒子線 / 加速器 / ニュートリノ / ビームモニター / 測定器 / ニュートリノ振動 / 原子核反応 / ニュートリノ質量 / フレーバー物理 / ニュートリノ反応
【研究成果の概要】
本研究では、2009年度開始予定の東海-神岡間長基線ニュートリノ振動実験(T2K実験)で採用する世界初非軸ニュートリノビームの生成方と制御方法、そしていかにビームを理解するかについて研究を行った。T2K実験では、まだ未確定のニュートリノ混合角θ13の測定と、ニュートリノ質量の二乗差と他の混合角θ23の精密測定を目指す。このために高品質・大強度ニュートリノビームの生成は実験の要である。本研究では平成17-18年の2年間で、次の5つの項目で飛躍的に研究を発展させた。
(1)K2K実験とスーパーカミオカンデ実験においてニュートリノ振動パラメータをより精密に決定した。この結果T2Kでのニュートリノビームの最適化が可能となった。
(2)ニュートリノビーム生成に関する研究を進めた.特にヨーロッパCERNで行ったハドロン生成測定実験(HARP実験)の結果を発表した。この結果、ニュートリノビームの性質をより正確に予測することが可能となった。
(3)ビーム制御に必要なミューオンモニター測定器の試作機を開発し、京大化研にある電子加速器のビームを使って測定器の性能を評価した。この結果、ビームモニターの実機版製作のデザインを確定できた。
(4)同じくビーム制御に必要なニュートリノモニター測定器の試作機を開発し、その性能評価を行った。また同時にビームパラメータの詳細をシミュレーションで評価した。
(5)ニュートリノ反応断面積測定のため新実験FNAL E954(sciBooNE実験)を米国フェルミ研で実現させた。SciBooNE実験で測定するニュートリノ反応断面積は、T2K実験でのニュートリノビームの理解に直結する。
以上の5つの成果をもって、より精密にT2K実験の非軸ニュートリノビーム生成方を理解することを可能とした。
【研究代表者】