励起子量子凝縮相の励起状態ダイナミクス
【研究キーワード】
励起子絶縁体 / 遷移金属化合物 / 時間依存ランチョス法 / 行列積状態 / ハバード模型 / 測定誘起相転移 / クラスター平均場近似 / スピン流 / 変分クラスター法 / 熱的純粋量子状態 / 有限温度 / 遷移金属酸化物 / 強相関電子系 / 非平衡
【研究成果の概要】
物質中において電子と正孔間に相互作用が働いて対(励起子)が自発的に生成され、それらが量子凝縮を起こした系を励起子絶縁体と呼ぶ。近年、その物性の理解が大きく進展している。本年度は励起子絶縁体そのものに関係する成果は得られなかったが、同じく強い電子相関を有する系について派生的に以下の成果を得た。
(1)二次元異方的三角格子上のハバード模型における光誘起スピン秩序転移の研究を行った。この系では基底状態ではハイゼンベルグ相互作用の大きさの違いによりネール秩序からスパイラル秩序へとスピン配置が変化する。この系に定常外場を導入し、外場のパラメタを変化させた時のスピン秩序の振る舞いを時間依存ランチョス法を用いて調べた。また、非平衡状態における有効模型と結果を比較することで、外場によってハイゼンベルグ相互作用の大きさを変え、スピン配置のパターンを制御できることを明らかにした。
(2)一次元系の行列積状態を用いた量子ダイナミクスの数値計算プログラムの開発を進めている。このプログラムを使用して長距離相互作用を有するスピンレスフェルミオン模型における量子測定誘起相転移の研究を行った。時間が経つと系の量子もつれは増大するが、測定を行うと量子もつれは減少する。測定の頻度を変えると、ある測定頻度で系が相転移が起こることが指摘されており、近年盛んに研究が行われている。本研究では長距離相互作用が及ぶ範囲と測定誘起相転移の関係について検証し、測定誘起相転移が起こるための新たな条件を発見した。
(3)関連する成果として、第一原理計算を用いたCe3PtIn11, LiRh2O4に関する研究を実験グループと共同で行った。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究
【研究期間】2019-04-01 - 2023-03-31
【配分額】3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)