複合ソリトン配位に基づく量子非摂動現象の新たな側面
【研究分野】素粒子・原子核・宇宙線・宇宙物理
【研究キーワード】
場の量子論 / 非摂動現象 / 複合ソリトン / バイオン配位 / リサージェンス理論 / 量子異常マッチング / 格子数値計算 / 複素解 / 非摂動解析 / 赤外リノマロン / 複素古典解 / 量子非摂動解析 / 経路積分 / Bion / トランス級数 / アノマリーマッチング / クォーク閉じ込め / Resurgence理論 / Trans-series / 格子QCD / ソリトン / 摂動計算 / Resurgence
【研究成果の概要】
場の量子論の定式化・解析法は主に摂動論に基づいており,クォーク閉じ込めや質量ギャップなど非摂動現象の本質的理解には未だ至っていない.この研究では「複合ソリトン配位=bion」と呼ばれる対象に注目し,その性質や関係する問題を具に調べることで以下の研究成果を上げた.(1)量子異常マッチング・格子数値計算を通した研究により,弱結合領域でのbion凝縮閉じ込め相が強結合閉じ込め相と連続的に繋がることを示唆する結果を得た.(2)bion寄与と摂動寄与の総和を取ることで,不定性のない厳密な物理量が得られること,そしてこの手法に基づく場の量子論の非摂動的定式化=リサージェンス理論の可能性を示した.
【研究の社会的意義】
素粒子は場の量子論と呼ばれる理論体系によって記述されるが,容易に解析できるのは素粒子間の相互作用が弱い領域(摂動領域)のみであり,核子形成や質量生成が起きる強結合現象(非摂動現象)の理解はいまだに不完全である.本研究では,「bion」と呼ばれる複合ソリトン配位がこのような強結合現象に重要な寄与をしていることを示すとともに,bion配位の物理量への寄与を足しあげることで場の量子論の非摂動的定式化に繋がることを示した.これらの研究成果は,従来の場の量子論研究とは一線を画する独創的なものであり,素粒子物理のみならず物性物理の非摂動現象の理解にも大きな貢献をする可能性がある.
【研究代表者】
【研究協力者】 |
坂井 典佑 | 慶應義塾大学 | 自然科学研究教育センター | 訪問教授 | (Kakenデータベース) |
新田 宗土 | 慶應義塾大学 | 商学部 | 教授 | (Kakenデータベース) |
藤森 俊明 | 慶應義塾大学 | 商学部 | 助教 | (Kakenデータベース) |
鎌田 翔 | ノースカロライナ大学 | 物理学科 | 研究員 |
本多 正純 | ケンブリッジ大学 | DAMTP | 研究員 |
伊藤 悦子 | 慶應義塾大学 | 自然科学研究教育センター | 特任講師 | (Kakenデータベース) |
谷崎 佑弥 | ノースカロライナ大学 | 物理学科 | 研究員 |
菊池 勇太 | 理研BNL | 研究員 |
本郷 優 | 慶應義塾大学 | 自然科学研究教育センター | 特任助教 |
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【研究種目】若手研究(B)
【研究期間】2016-04-01 - 2019-03-31
【配分額】4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)