シュレーディンガー方程式における幾何学的手法
【研究分野】数学解析
【研究キーワード】
数理物理 / 偏微分方程式論 / シュレーディンガー方程式 / 散乱理論 / スペクトル理論 / 差分作用素 / 閾値レゾナンス / 偏微分方程式 / 多体問題 / 関数解析学 / 関数方程式論 / 解析学 / 幾何学
【研究成果の概要】
当該年度には主に以下の2つの研究を行った.
1. 離散Schrodinger作用素に対する基本解の構成
一般次元超立方格子上の離散Laplace作用素に対し,組み合わせ論的な方法を用いて,すべての基本解を構成することに成功した.基本解は一般に一意ではなく,そのうちで無限遠方において適切な漸近挙動を持つもの(格子Green関数)が物理的な意味を持つ.低次元空間の場合,さらに付加的な情報を用いることで,基本解の集合から格子Green関数を抜き出すことができ,それは一般に知られているものと一致することが確かめられた.一方で,高次元では対応する付加的な情報を利用することができないため,格子Green関数を抜き出すことにはまだ成功していない.それゆえ,この結果はまだ発展途上と言え,次年度以降にも引き続き研究を進めていく予定である.
2. 複素パラメータに対する指数重み付き極限吸収原理
Euclid空間上のSchrodinger作用素に対し,そのレゾルベントの複素スペクトルパラメータにおける極限吸収原理を示すことができた.レゾルベントを考える関数空間としては指数重み付きAgmon-Hormander空間を用いており,これは最良の空間であると考えられる.証明には,これまでの研究でもたびたび利用してきた交換子の方法を用いるが,非自明な使い方をする箇所があり,一定の新規性があると考えられる.対応するRellichの定理の証明は困難であり,今のところ未完成である.また具体的な応用も今のところ見つかっていない.そのため,この研究もまだ発展途上と言える.次年度以降にも引き続き研究を進めていく予定である.
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2017-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)