大規模データ同化に基づく乾燥亀裂の素過程の理解と解明
【研究キーワード】
破壊 / 乾燥亀裂 / 不均一性 / フェーズフィールドモデル / データ同化 / 深層学習 / PINN
【研究成果の概要】
本研究は水と粉体の混合ペーストの乾燥破壊現象において、亀裂の進展に影響する物性値空間不均一性を計測データと数値モデルの比較により定量的に評価するための基盤技術の開発を目的としている。本年度は乾燥破壊実験を昨年度に引き続き継続して実施した。年度途中に利用している実験施設の移動に伴い実験装置を解体する必要が出たため、実験装置の見直しを行ない効率的に実験を行なえるよう装置の整備を実施した。また、本年度から新たに深層学習に基づくシミュレーションとデータを融合するデータ同化研究を開始した。これまでに開発してきたフェーズフィールド法による乾燥破壊亀裂のシミュレーションモデルは、亀裂を空間的に連続な場として表現するため、勾配を利用する大規模データ同化の定式化と相性が良いが、亀裂のある部分とない部分で必要となる空間解像度のスケールが大きく異なり、通常の格子ベースの連続体解法では細かな空間解像度に律速されて推定すべき変数の数が爆発的に増えてしまう。そこで、空間変数を入力、シミュレーションモデルの解を出力する physics-informed neural network (PINN) を用いて必要となる基底関数の数を抑えつつシミュレーションと逆問題解析を同時に行うことで、高速なシミュレーションと効率的なデータ同化を狙う。テストとして1次元の軽量な系へ適用を行なったところ、現時点ではパラメータに依存するところが大きいが、定性的には深層学習による本手法がうまく動くことを確認できた。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究
【研究期間】2019-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)