生体分子の機能発揮機構における水和構造の役割の解明
【研究分野】生物物理・化学物理・ソフトマターの物理
【研究キーワード】
生体分子 / 機能的構造変化 / 水和構造 / 溶媒和自由エネルギー / 分子動力学シミュレーション / 溶液散乱実験 / ベイズ統計 / 蛋白質 / 構造アンサンブル / 自由エネルギー地形 / MDシミュレーション / 溶液X線散乱 / 生体分子の機能発揮機構 / X線回折散乱実験 / 蛋白質分子 / 蛋白質ダイナミックス / X線散乱回折実験
【研究成果の概要】
本研究の目的は、「蛋白質の構造変化過程における水和構造の役割の解明」である。この目的のためには、蛋白質の溶液中における構造アンサンブルを可視化し、そのアンサンブルの形成におけるすわい構造の自由エネルギー寄与を明らかにする必要がある。そのために、(1)実験とMDシミュレーションの統合的手法による蛋白質構造アンサンブル可視化法の開発を行い、さらに、(2)蛋白質構造変化に伴う溶媒和自由エネルギー変化の解析方法を開発した。これらの手法により、蛋白質の機能的構造変化の駆動メカニズムを説明するためには、水和構造によるエネルギー的寄与が必須であることが明らかになりつつある。
【研究の社会的意義】
生命の営みには『水』の存在が不可欠であるが、その大きな要因としては、生命活動の素過程を担うタンパク質や核酸といった生体分子が機能するためには、水環境が必須であることが挙げられる。では、なぜ生体分子は機能発現に水環境を必要とするのか?この疑問に答えるためには、生体分子近傍の水和構造を詳しく調べ、その構造を基に、生体分子の構造変化過程といった機能発揮過程において水が果たしている役割を熱力学的に明らかにする必要がある。本研究において開発された構造変化の解析方法は、このような熱力学的研究を可能にし、水和構造の役割を明らかにしつつある。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究(A)
【研究期間】2017-04-01 - 2021-03-31
【配分額】25,740千円 (直接経費: 19,800千円、間接経費: 5,940千円)