プラズマ触媒反応による非熱的CO2還元とメタノール高速合成
【研究キーワード】
プラズマ化学 / プラズマ触媒 / カーボンリサイクル / 炭素循環 / カーボンニュートラル / 二酸化炭素 / メタノール / メタン / 触媒反応
【研究成果の概要】
メタノール合成に用いる高活性触媒としてCuZn/Al2O3合金触媒を用い,誘電体バリア放電(DBD, Dielectric Barrier Discharge)の組み合わせによる反応促進効果を確認するとともに反応機構を明らかにした。DBDを照射したまま赤外吸収分光分析が可能な装置を新たに開発し,熱反応とプラズマ反応による表面化学種の違いを同定した。熱反応では,CO2とH2の混合ガス(H2/CO2 = 3)を流通させると炭酸塩(CO3*)の形成を確認できた。常温から500℃まで昇温すると炭酸塩のピークがわずかに増加したが,それ以外の変化はなかった。しかし,DBDを作用させると炭酸塩のピーク強度が顕著に強くなるとともに,ギ酸塩(formate:HCOO)の形成を確認できた。これらのピークは触媒温度に対して大きな変化を示し,この点も熱反応と明らかに異なる挙動を示した。CO2とH2を単独で交互に流通させて同様の実験を行った。H2をプラズマで励起するとCuに吸着したCu-Hに起因するブロードなピークが顕在化した。Hが吸着するとCuZnの伝導体に電子を供与するためCuZnの自由電子が増加し,赤外長波長域でプラズモン共鳴により触媒の赤外吸収(ベースライン)が増大することが明らかになった。DBDがCO2を振動励起させることは当初から想定していたが,プラズマはH2も効果的に励起しており,その結果スピルオーバーを促進してCH3OHおよびCH4を生成することを初めて明らかにした。吸着種の振動信号を獲得できない場合でも,電荷移動によるプラズモン共鳴を利用した反応診断の可能性を示したことも重要な成果である。
【研究代表者】
【研究種目】挑戦的研究(萌芽)
【研究期間】2021-07-09 - 2023-03-31
【配分額】6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)