非定常・間欠効果による磁気リコネクションの大規模エネルギー解放の実験的解明
【研究分野】プラズマ理工学
【研究キーワード】
磁気リコネクション / 非定常リコネクション / プラズモイド / 電流シート放出 / 異常抵抗 / 太陽コロナ / 計算機シミュレーション / 地球磁気圏プラズマ
【研究成果の概要】
磁気リコネクション時の電流シートへのプラズマ流入と電流シート内蓄積、リコネクションによる排出の関係を粒子保存則と異常拡散の両面から明らかにした。その結果、インフローを増やすに従って、リコネクションが準定常から間欠モードへ移行する過程が明らかになった。インフローが低速の時は、シートのインフローとアウトフローが釣り合って準定常リコネクションが実現されるが、インフローが増加すると、1)シートが粒子溜まりとして作用してインフローが高速化する。さらにインフローが増加すると、シート幅δに対するラーマ半径pの大小によって2ケースが生じた。即ち、縦磁場が小さく、δ<pのため電流シートに大きな異常抵抗が発生すると、2)シートの異常抵抗拡散により、リコネクション速度が高速化し、一方、縦磁場が大きく同異常抵抗が小さいと、2')プラズモイド放出などの非定常な粒子排出による高速化が発生することが判明した。1)はリコネクション前半、2)2')は後半に高速化を引き起こす。2')では電流シート放出に伴ってシートがダイナミックにラーマ半径程度に狭窄化、或いは磁気島が発生して磁場拡散が発生することが明らかになった。以上、シートの異常拡散とプラズモイドがそれぞれ運動論、MHD領域の高速リコネクション機構になっていることが判明した。最後に能動的検証法として、電子サイクロトロン加熱で電流シートを加熱すると、抵抗拡散のみが低下してリコネクション速度が低下する。このことにより、高速リコネクションには粒子放出と抵抗拡散の双方が必要であり、インフローと抵抗拡散、粒子排出の釣り合いがくずれると、定常リコネクションが非定常化し、最後はプラズモイドなど間欠的なエネルギー放出モードへ移行することが明らかになった。
【研究代表者】