小分子を利用した非π縮環型新奇機能性有機蛍光材料の開発
【研究キーワード】
イミダゾール / 有機結晶 / 有機蛍光分子 / 超分子 / 水素結合 / 有機蛍光材料 / クロミズム
【研究成果の概要】
本研究ではアリールエチニルイミダゾール分子を基本骨格として、新奇の小分子機能性有機蛍光分子骨格の開発を目的としている。
2021年度は主にメカノフルオロクロミズム(MFC)を示す分子の合成と物性評価を行った。当初はMFC特性の発現にはジフェニルエテニル基が必要と考えていたが、ベンゾイル基を持つ2-methyl-4-arylethynyl-5-benzoylimidazoleがMFCを示した。そのため、この分子のMFC特性について詳細に研究を行った。当該の分子は結晶状態では弱い青色蛍光を示すが、すりつぶすことで黄色の蛍光を示した。また、その蛍光色は室温で一定の時間置いておくことで元の色に戻る自己回復特性を示す事を見出した。自己回復に要する時間は置換基によって大きく異なった。結晶中ではベンゾイル基が、メチル基やアリールエチニル基との立体反発によりねじれた構造を取り、結晶中で分子が動くことができるスペースができるため、このようなMFC特性を示す事が分かった。固体を融解させて急冷することで室温でガラス状態もしくは過冷却液体となった。これらの状態でも黄色の蛍光を発し、すりつぶした状態と同様の蛍光特性を示した。XRD測定等から結晶をすりつぶすことでアモルファス状態へと変化していることが分かった。
また、ピリジルエチニル基を導入した4-pyridylethynyl-5-arylethynylimidazoleの合成も合わせて行った。この分子は溶液中で良好な蛍光特性を示し、結晶中では水素結合により特徴的な4量体構造を形成した。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2021-04-01 - 2024-03-31
【配分額】4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)