極低温走査トンネル顕微鏡によって作られる金属ナノワイヤーの量子化された電気伝導
【研究分野】固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
【研究キーワード】
走査トンネル顕微鏡 / ナノワイヤー / 量子化コンダクタンス / 極低温 / 超高真空 / 強磁性金属 / ヒステリシス / 磁気抵抗 / 原子ワイヤー / 量子化電気伝導度 / ポイントコンタクト
【研究成果の概要】
金属表面に走査トンネル顕微鏡(STM)の金属探針の先端を接触させた後に、表面と探針との距離を離すと、表面と探針の間に原子サイズの金属細線が形成できる。このとき、細線を構成する原子自体のスピンまで含めた電子状態の違いと原子配列の微細な変化に起因して、多様な電気伝導が観測される。本研究では、超高真空中の清浄な金属表面とSTM探針との間に形成される各種金属細線の電気伝導を、広い温度範囲で測定する方法を開発し、強磁性金属を用いてその電気伝導を調べた。
1.本研究の装置開発として、既設装置に試料加熱用の電子ビーム加熱装置を取り付け、最高1200℃の試料熱により、ニッケルなどの単結晶金属表面清浄化ができる極低温STMを完成した。また、この研究に適した新たな極低温走査トンネル顕微鏡本体の設計および製作を行なった。
2.鉄金属薄膜を用いて金属ナノワイヤーを作製する研究では、4.2Kでの電気伝導度の磁場依存性の詳しい研究を行った。ワイヤーの伸び縮みに伴い、電気伝導度は階段状に変化するが、その平坦な点でワイヤーの長さを固定した時には、磁場変化による電気伝導度の変化は小さいが、そのステップ近傍でワイヤーの長さを固定すると、電気伝導度が急激に変化する。詳しい解析により、磁歪効果によりワイヤーの長さが磁場によって変化したと結論した。
3.清浄化したニッケル(111)単結晶表面上とニッケル薄膜上で作成した細線の電気伝導の比較を行なった。4.2Kでの磁気抵抗効果に違いが観測され、基板の磁化過程が細線の磁気抵抗に影響を与えることが明らかとなった。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
中辻 寛 | 東京大学 | 物性研究所 | 助手 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2000 - 2001
【配分額】3,300千円 (直接経費: 3,300千円)