真空中の捕獲電子と超伝導量子ビットの結合系
【研究キーワード】
量子技術 / 量子情報 / 超伝導量子回路 / 電子トラップ / 量子エレクトロニクス / 単一電子検出 / パウルトラップ / ハイブリッド量子系 / 低温電子源 / 高電圧超伝導回路 / 極低温極高真空 / 超伝導ナノワイヤ検出器 / 量子制御 / イオントラップ
【研究成果の概要】
振動電場によって真空中に捕獲された電子を用いることで、長いコヒーレンスと速い制御を両立した量子系を構築することができる。しかし、電子は光によって量子制御することが難しいために、これまで制御された量子系として実現されてこなかった。そこで、本研究では、極低温環境において電子を捕獲し、その量子状態を超伝導マイクロ波回路を用いて観測・制御することを目指して研究をしている。
令和3年度では、極低温下での低エネルギー電子を検出する方法として、超伝導ナノワイヤを用いた単一電子検出器の開発を行った。光電効果により発生した電子を静電レンズで集束し、超伝導ナノワイヤに照射した。この方法により、20 eV程度という低エネルギーの単一電子を検出することに成功し、バイアス電流の変化による量子効率の変化などを評価した。また、極低温での電子トラップのための低エネルギー電子源を開発した。原子の光イオン化閾値ぎりぎりの波長のレーザー光を照射することでmeVオーダーの電子を発生させることに成功した。
さらに電子を捕獲制御するシステムとして、新しく同軸マイクロ波共振器を用いたものを提案し、その閉じ込め深さや必要なマイクロ波強度のシミュレーションを行った。この系は室温でも電子のトラップが可能であり、電子の振動検出に十分なQ値が実現する。
これらのシステムを用いた電子捕獲や電子の冷却方法の提案について、また低エネルギー電子生成の結果について論文としてまとめた。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2019-04-01 - 2023-03-31
【配分額】17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)