逆問題の解の安定性と再構成について
【研究分野】数学一般(含確率論・統計数学)
【研究キーワード】
安定性 / 逆問題 / インピーダンス・トモグラフィー / 自由境界問題 / 有限要素法 / 多倍数計算 / カールマン・フィルター / 多倍長計算 / 幾何形状決定 / 係数決定 / インピーダンス・トモグラフィ
【研究成果の概要】
本研究は、応用数理学に現れる逆問題についてその数学解析とその成果に基づいた数値解析手法を提案することが主要目的であった。それとともに広く応用分野に登場する関連問題についても逆問題の観点から数値的な研究を実施し、本研究課題に適用できる可能性のある数値計算法の基盤を準備することも目指した。
逆問題の数学解析の点では本研究課題を通じて、大きな成果を納めることができたと考えている。さらに数学解析の成果を踏まえた数値解析手法の開発では、いくつかの注目すべき方法か提案され数値実験で有効性が確かめられたが、実データとの照合などまだ課題が残されており、研究の継続か大いに必要である。最後に、逆問題関連の数値解析の研究では、各分担者の専門的知見を活かして特色のある成果をあげることができた。さらには、外国人研究者によるサーベイや国際会誌での活発な成果もおこなった。
以下、研究成果についてやや具体的に述べる。まず、本研究課題を通じて得られた知見を盛り込んで、逆問題解析の数学と数値解析手法に関するやや入門的な解説書として研究代表者は分担者の登坂宣好氏、大西和榮氏とともに『逆問題の数理と解法』東京大学出版会,1999年)を出版した。その他、大西氏、登坂氏、磯祐介氏、河原田秀夫氏、三好哲彦氏、木村正人氏、牛島照夫氏、加古孝氏は逆問題やそれと深く関連した応用数理学に現れる問題に対して数値解析手法を発展させた。さらに、逆問題の理論的な研究は、中村玄氏、斎藤三郎氏、池畠優氏、田沼一実氏、久保雅義氏によって実施された。
【研究代表者】