リスク尺度に基づくデリバティブ価格の研究
【研究分野】数学一般(含確率論・統計数学)
【研究キーワード】
数理ファイナンス / デリバティブ / リスク尺度 / 数値計算 / マリアバン解析 / 自由リー環 / 確率微分方程式 / ルンゲ・クッタ法 / アクチュアリー / 生命保険 / 数値解析 / ファイナンス / リスク / 法則不変 / 多期間モデル / 連続極限 / フィルトレーション / ルンゲ・クッタ / リー環 / 拡散過程 / モンテカルロ法 / アメリカンオプション / ヨーロピアンオプション / 加法過程 / 特性関数
【研究成果の概要】
本研究の目的は、市場が完備でない場合や取引費用、空売り制約、税金などの摩擦要因のある場合に、ヨーロッパ型、アメリカ型をはじめとするデリバティブの価格を金融機関が決定するにあたり、リスク尺度(Risk Measure)に基づくリスク管理という観点から考えればどのようになるかということを研究することにあった。
まず、リスク尺度で金融機関が使いやすいものとして、Artzner-Delbaen-Eber-Heathの提案したコヒーレントなリスク尺度というものがあるが、さらに新しい概念として法則不変(Law Invariant)というものを導入し、法則不変なコヒーレントリスク尺度の分類を行った。
次にデリバティブ価格の計算のために、効率的な数値計算の新手法の研究を行った。
まずアメリカ型のデリバティブの計算方法について、近年、値関数を多項式等で近似するという方法がLongstaff-Schwartzらにより提唱されているが、それらの方法の理論的正当性を証明すると同時に、その理論的限界についても考察した。これの理論的考察により、どのような改良の余地があるかについても明らかにした。
ヨーロッパ型デリバティブの数値計算法については、マリアバン解析に基づく確率微分方程式とリー環を用いた全く新しい方法を導入し、改良を重ねていった。具体的に言うと、まずm-similarなマルコフ作用素の概念を導入し、さらにm-L-similarな確率変数という概念を導入し、昨年度までの近似方法の自由度を大幅に高め、同時に逐次確率積分の代数的な性質についても解明した。また、常微分方程式の近似方法として有効なルンゲ・クッタ法を活用し、m-Similarなマルコフ作用素の具体的構成法やm-L-similarな確率変数の具体型についての研究を行い、実行可能なアルゴリズムの研究を行った。
【研究代表者】