フラクタルの数学的基礎
【研究分野】数学一般(含確率論・統計数学)
【研究キーワード】
フラクタル / 熱核 / 複素力学 / タイリング / ラプラシアン / 自己相似集合 / 拡散過程 / ジュリア集合
【研究成果の概要】
本研究はフラクタルを解析学、確率論、エルゴード理論、力学系、応用数学の様々な視点から総合的にとらえること目的としている。初年度(14年度)および最終年度(16年度)に京都において本研究課題を中心テーマとする研究集会をおこない、初年度においてはこれからの研究の方向について、最終年度については本研究で得られた成果にういてそれぞれ検討をおこなった。本研究で得られた成果の主なものは以下のとおりである。木上は、volume doubling条件の元では、Li-Yau型の上からの熱核の評価が局所Nash不等式と脱出時間の評価に同値であることを明らかにし、その応用としてフラクタル上の熱核の性質を詳細に調べた。熊谷は、Barlow-Bassらと共同で、熱核のLi-Yau型の評価の摂動に関する安定性を示した。伊藤は、ベータ変換とそれに対応するタイリングの代数的な性質を明らかにした。佐藤はフラクタルをマルチン境界とするような確率過程の構成を行った。亀山は、複素力学系に現れるジュリア集合が自己相似集合となるための条件を明らかにした。日野はSierpin ski carpet上の自己相似的なDirichlet形式のエネルギー測度は任意の自己相似測度と特異的であることを示した。さらに木上と亀山は自己相似集合の位相的性質とその上の拡散過程の性質の関係を明らかにした。また木上と熊谷はHamblyと共同で、フラクタル上の熱核の漸近的性質のマルチフラクタル性を明らかにした。
【研究代表者】