確率過程のモデルと推測理論の研究
【研究分野】数学一般
【研究キーワード】
確率過程 / 自己回帰モデル / 移動平均モデル / 拡散過程 / 時系列解析 / 尤度関数 / ポアソン分布 / 待ち行列
【研究成果の概要】
この研究の目的は、個々に研究されてきている種々の確率過程のモデルや推測理論について、より広い範囲への拡張や一般化、更に数学の種々の分野の理論との関係を調べることにあった。藤井は、定常過程に自己回帰モデルや移動平均モデル等のモデルのあてはめを行い、正規性を仮定してそのモデルのもとで尤度関数の値に注目するとき、もし本当はその定常過程がそのモデルに従っていない時でも、その定常過程のもつどのような性質が検出できるか等を研究した。強い周期成分が含まれているときの検出や問題とする時系列が1つの定常過程の階差でできていることの検出に有効なこと等を示したが、最近注目されている個々のモデルのあてはめの議論を、ある1つの観点から統一的に取り扱うことを試みたものである。そしてそれらの結果をシンポジュウ等で発表したり、来日中の米国,ソ連,中国の研究者と意見交換を行った。矢島も時系列モデルの拡張を発展させた。志賀は集団遺伝学の分野で問題になるモデルである無限次元拡散過程の研究を一般化することを試み、シンポジュウム等で発表した。本尾も拡散過程の性質を一般的に研究することを行った。森村は確率過程のなかでOR等においてよく用いられる待ち行列のモデルについて更にその適用範囲を広める研究を行い発表した。河村はある種の確率過程の研究にしばしば必要となる多変量ポアソン分布についての研究を計算機等も用いて行い、学会等で発表した。数学の種々の分野の理論との関係については、次のような研究を行った。高橋はバナッハ空間における最適値問題との関係で調べ、内藤も解析的方法の面から非線型問題などを調べた。丹野は多様対理論との関係の研究を行った。現在の推測理論には幾何学的な考え方や概念がとりいれられてきており、今後もこのような研究が必要となるであろう。野口は解析的観点から、関数論との関係について研究した。
【研究代表者】