統計学の数理的基礎と諸分野への応用に関する研究
【研究分野】数学一般
【研究キーワード】
統計推論の幾何学的構造 / 実験計画と分散分析 / 非定常、非線形的系列 / 頑健推定・検定論 / 多変量解析 / 品質管理 / 空間統計 / 統計計算 / 推論の幾何学的構造 / 漸近展開 / 頑健推定・検定・予測 / 寿命分布 / タグチメソッド / 空間統計学生物形態学 / 実験計画法として分散分析 / 農事試験 / 非線形・非ガウス平滑化法 / モンテカルロ法 / 医学データ解析 / 時系列漸近分布理論 / 非定常・非線形時系列 / 多変量解析法
【研究成果の概要】
統計学では現実の問題を抽象化し、その数理的構造を解明することにより、新理論が産み出される。一方、その成果を現実の問題に適用するには、各現場に固有の様々な制約・特徴に応ずるよう修正を施さねばならない。この一般化と特殊化は統計学において本質的である。本研究ではこのような相互作用をとくに重視し、理論と応用の総合研究を行い、見るべき成果を得た。以下にその概要を記す。
まず、理論面において、(1)統計的推論の幾何学的構造に注目し、推定・検定の新理論の展開や漸近展開理論の精緻化を行った。(2)直交配列、均斉配列等の実験計画構成理論と、それに伴う分散分析法について新しい知見を得た。(3)寿命、濃度等正値のみをとるデ-タの解析法の必要性が高まっていることに応じ、非正規分布理論、推測理論について研究し、多くの成果を得た。(4)非定常、非線形時系列へ接近するための新しい方法論、因果関係分析の新しい方法論を得た。(5)種々の外乱に対し頑健な推測法の概念整理を行い、具体的提言を得た。(6)多変量解析の分野において回帰分析や多次元尺度構成の新しい方法論を得た。
次に特定分野に深くかかわる応用研究として、(1)計測技術の進歩、新素材の開発といった工業の進展、工程管理・検査から、企画・設計へと遡った品質管理の概念的発展に応ずる方法論に多くの成果を得た。(2)生物・医学においては個体差が多大、同一条件での繰り返しを得ることが難しい。脱落等による不完全デ-タが多い等、従来の理論や方法論がなじまないことが多い。この特殊性をタ-ゲットに研究を行い、2次元生存時間デ-タ解析をはじめ、新しい方法をいくつか提案した。(3)空間統計の破壊物理学、地質学等、新しい分野への応用研究を行った。最後に計算機に強く依存した統計手法として、平滑化法、リサンプリング法などの研究を行い多くの提言を得た。
【研究代表者】