確率セルオートマトンへの超離散化および逆超離散化の研究とその応用
【研究分野】数学一般(含確率論・統計数学)
【研究キーワード】
セルオートマトン / 反応拡散系 / 確率モデル / 超離散化 / 逆超離散化 / 超拡散化 / 逆超拡散化 / 反応拡散化 / BZ反応 / フレドキンゲーム
【研究成果の概要】
今年度は等方的な時間発展パターンを生成するCAのより一般的な構成手法を構築した.この等方CAの構成手法は反応拡散方程式で記述されるすべての系に対して適用可能である.中心的なアイデアは,拡散の効果を粒子のランダム・ウォークとして定式化し,非線形相互作用による時間発展を離散ベクトル場によって表現した点である.この手法では,拡散係数その他のパラメータが自然な形で導入される.論文提出者は,ひとつの例として,この手法をBZ反応に応用し,等方性の実現や時間発展パターンの適切なパラメータ依存性を実現した.
さらに,この手法をバクテリア・コロニーの成長パターンに応用することで,Bacillus subtilisおよびProteus mirabilisと呼ばれるバクテリア族が形成するコロニーの成長パターンをCAモデル化し,いくつかの実験結果との検証を試みている.Bacillus subtilisを寒天ゲル上で培養すると,培地の硬さと寒天の栄養濃度に応じてモルフォロジー・ダイアグラムと呼ばれる多様なパターン・ダイアグラムを形成することが知られている.このモルフォロジー・ダイアグラムはを単一のCAモデルで説明した例はなかったが,ランダムウォークを取り入れた構成法によって,すべてのパターンを等方的に再現するCAモデルを構成した.また,中央大学のグループによるBacillus subtilisに対するより詳細な複数の実験が行われているが,この構成したCAを用いて詳細な実験結果の再現も試みた.その結果,コロニーの切除や時間遅れの実験などすべての実験がこのモデルにより非常によく再現できることを示した.
以上の結果は現在2本の論文として投稿中である.
【研究代表者】