形式的方法による複雑系数理の基礎研究
【研究分野】幾何学
【研究キーワード】
複雑系 / 創発性 / 形式的体系 / 不定性 / 高次元圏 / 分子機械 / 自然数 / 存在論的観測 / 内部観測 / 2元論 / ミルナーアトラクタ / 関数マップ / 動的認識子 / 複複系 / 形式化 / 内的集合論 / 高次元圏論 / 分散システム / 様相論理 / 翻訳システム
【研究成果の概要】
分子生物学の発展により、生物を「分子機械」として詳細に研究できるようになったが、数学の立場から「分子機械」を定式化することは容易ではない。高自由度非線形力学系は複雑系の豊かな数理モデルを与え続けているが、数学的規則を基底とすることが生命現象の理解として、適切かどうかは重要な論点である。
当研究計画は、複雑系研究の諸課題中、生命科学の基盤整備の側面に焦点を絞り、現代数学との新たな連携点を見出すことに重点を置いた。分担者である複雑系研究者・諸分野の数学者・計算機科学者の議論を通して、複雑系研究における数学の新たな役割の可能性が見出されると同時に、数学の新しい展開の糸口が見出された。その核心が「数学の不定性」の再発見であり、その核心として、自然数列の不定性が再確認された。現代数学の概念構成は自然数列の唯一性に基づくことが多いため、自然数列の不定性は数学全体に不定性をもたらす。この不定性は研究の展開に従って消されることなく次々と変化していくことが数学研究の核心を成しており、それが存在論的観測のアプローチの特質を明確にすることがわかった。
なお、現代数学の通常の手法による研究(数理言語学、時系列解析、パターン複製)、計算機科学・論理学からの寄与(ソフトウェアの構造の抽象化、暗号理論、機械翻訳、線形論理、部分構造論理)、構成的方法に基づく研究(関数マップ、知識を考慮したゲーム)等、種々の進展があったが、詳細は研究成果報告書を参照して頂きたい。
【研究代表者】