確率微分方程式モデルに基づく数理・データ科学とシミュレーション科学の融合的研究
【研究分野】数学基礎・応用数学
【研究キーワード】
統計数学 / 確率過程 / 計算統計 / 数理統計学 / リード・ラグ分析 / 高頻度データ / セミマルチンゲールの期待値汎関数 / 初期到達時刻分布 / 統計的機械学習 / 先行遅行分析 / ウェーブレット解析 / ある点過程の周辺尤度解析とモデル選択 / 確率微分方程式による死亡率予測モデリング / 高次元共分散推定 / ジャンプ型拡散過程 / 初期到達分布 / 漸近理論 / 保険数理 / ジャンプ型確率過程
【研究成果の概要】
今年度は,(i) エルゴード的拡散過程における適応型仮説検定問題,(ii) 一般的な確率変数に対する汎関数推定量の漸近分布,(iii) 深層ニューラルネットワークによる確率過程のパラメータ推定,(iv) 先行遅行関係の検定手法,について研究を行った.詳細は次の通りである.
(i) 高頻度データを用いて,エルゴード的拡散過程のドリフトパラメータとボラティリティパラメータの適応型検定統計量を構成し,それらの漸近分布を導出した.また適応型仮説検定の一致性を証明した.
(ii) Malliavin解析の手法を回避することにより,セミマルチンゲールを含むより一般的な確率変数に対する汎関数推定量の漸近分布を求めるための簡便な十分条件を発見し,その漸近分布を計算可能な形で示した.
(iii) 深層ニューラルネットワークによってエルゴード的拡散過程のドリフト係数を推定する方法について研究した.先行研究では,独立同分布観測に基づいて回帰関数をノンパラメトリック推定する問題において,推定量として深層ニューラルネットワークを用いた際の推定誤差のバウンドが導出されているが,拡散過程の長期高頻度観測からドリフト係数を推定するという文脈においても,類似の推定誤差のバウンドが正当化できることを示した.
(iv) 2017~2018年度の研究において導入した,複数の時間スケールに異なる種類のリード・ラグ関係が存在することを許す確率過程モデルにおいて,時間スケールごとにリード・ラグ関係が有意に存在するか否かを検定する方法を研究した.検定統計量を提案し,数値シミュレーションにおいてはうまく機能していることを確認した.
【研究代表者】
【研究分担者】 |
清水 泰隆 | 早稲田大学 | 理工学術院 | 教授 | (Kakenデータベース) |
林 高樹 | 慶應義塾大学 | 経営管理研究科(日吉) | 教授 | (Kakenデータベース) |
小池 祐太 | 東京大学 | 大学院数理科学研究科 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(A)
【研究期間】2017-04-01 - 2022-03-31
【配分額】44,460千円 (直接経費: 34,200千円、間接経費: 10,260千円)